日本人の半数以上が勤め先の会社を「好きだ」と言えない

この流れを受けて、「仕事は“お金をもらえる学校”に行くこと」とちかこさんが表現したその意味をもう一度考えてみましょう。きっとこんな解釈ができると思います。

「学校は自分の意思にかかわらず、行かなければいけないところ。大人になって仕事をしにいく会社もきっとそう。でも、会社に行って働けば、お給料をもらえるからマシかもしれない」

少し偏った解釈になっていないだろうかと心配してちかこさんに聞くと、「そうです」と返してくれました。

そしてこれは、今の大人たちの大多数が抱いている「会社」のイメージとほとんど変わらないんじゃないか。僕はそう思っています。

つまり、会社とは、好きじゃない仕事を無理して頑張る場所で、給料とは苦痛に耐えていることへの「我慢料」。

残念なことに、日本の今の大人たちには「会社嫌い」を公言する人がとても多いことがわかっています。

ある団体が、世界の何カ国かの大人たちに、「あなたは、今働いている会社が好きですか?」と聞く調査をしたそうです。すると、アメリカ人は80%くらいの人が「好きです」と答えた。中国人も同じくらい。

ところが、日本人は40%くらい。半分以上の人が自分が働いている会社を「好きだ」と感じられていないなんて、ショックですよね。

自分の気持ちよりも、世間の目を気にして選んでいる

この差はどうして生まれてしまったのか。

理由は簡単で、日本人は“我慢”しているのです。そもそも会社とは、好き嫌いで選ぶものではなくて、「将来にわたってお金の心配なく暮らせるかどうか」「有名かどうか」「人気ランキングの上位かどうか」で選んでいる人が少なくないのです。

今挙げた条件には、一つも“自分の気持ち”は入っていません。自分の気持ちよりも、世間の目を気にして選ぶから、当然、入社後にあまり面白いと感じられないことは多いはずです。でも、辞めない。これもきっと世間体が理由です。

「石の上にも三年」ということわざの影響でしょうか。なんとなく、「三年以内に会社を辞める若者はけしからん」という風潮もあります。

親からも説得されるようです。「ちょっとくらいつらいからって、辞めるなんて考えてはいけないよ。仕事とはそういうものだ。そのうち慣れるから頑張りなさい」と。

意地悪で言っているわけではありません。親世代も同じように“我慢”をしてきたので、それが普通なんですね。

きっと、アメリカ人や中国人が聞いたらびっくりするはずです。なぜなら彼らは「嫌になったらすぐ辞める」のが当たり前だから。

そう、なぜ彼・彼女らが日本人と比べて「会社好き」か、ピンと来ましたか? 嫌いになる前に辞めちゃうからですね。自分に合わないと思ったら、もっと好きになれそうな会社に移るという考え方が当たり前になっているのです。