では、大企業はどうだったのでしょうか。
東証一部上場企業のうち、特に時価総額と流動性の高い企業30社の株価の値動きを示す「トピックス・コア30」を見ると、2012年までの10年間でなんとマイナス24%! こっちは悲惨ですね。一体、どんな企業がこんなに成績を下げてしまったのでしょう。2012年10月末時点の「トピックス・コア30」を構成する企業は次の30社でした。
日本たばこ産業、セブン&アイ・ホールディングス、信越化学工業、花王、東芝、武田薬品工業、アステラス製薬、新日本製鐵、小松製作所、日立製作所、パナソニック、ソニー、ファナック、日産自動車、トヨタ自動車、本田技研工業、キヤノン、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三菱商事、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループ、野村ホールディングス、東京海上ホールディングス、三菱地所、三井物産、KDDI、日本電信電話(NTT)、NTTドコモ、東日本旅客鉄道(JR東日本)、ソフトバンク
一度は聞いたことがある、それどころか、日本を代表するコア中のコア。就職希望の上位ランキングに入る大企業ばかりですよね。
大企業に入れば安泰どころか高リスク
しかし、「失われた」と言わせる元凶はこの大企業にあったと言わざるを得ません。
僕たちは「大企業は儲かっていて、中小企業は貧乏」というイメージを抱きがちですが、少なくともこの10年間において事実はそうではないことがわかります。さらに、2012年末から2020年8月までのデータを見ると、いわゆる「アベノミクス」以降も、株式市場を牽引してきたのはやはり中小企業なのです。
大企業に入れば安泰、とは本当でしょうか?
むしろ高リスクなのは大企業のほうなのかもしれません。
僕は投資する対象としても、働く職場としても、元気な中小企業のほうがよほど将来性があると考え、大学生にも魅力あるベンチャー企業の存在を伝えているのです。
興味があったら、パッと目についた企業の株価を調べてみてください。意外な成績が見えてくるかもしれませんよ。