楽天は「中国企業が大株主になった」とアピールしていた

「日の丸プラットフォーム」のもう一方の雄である楽天も、個人情報の「海外流出リスク」の悩ましい事態に直面している。

楽天は、国内に1億人以上の会員を抱え、主力のネット通販「楽天市場」の出店数は5万3000店を超える。2020年4月には「第4の携帯電話事業者」として通信市場に本格参入した。

その携帯電話事業のテコ入れのための巨額増資に、中国の巨大IT企業テンセントの子会社が657億円を出資し、3月末に大株主に収まったのである。

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楽天は当初、「先進的なテクノロジーを有するテンセントグループとの協業を通じたサービスの充実を目指す」とアピールし、テンセントとの連携を海外展開の足がかりにしようともくろんでいた。だが、協業となれば顧客情報がテンセントを通じて中国当局に流出しかねない。そのため、このもくろみは経済安全保障の観点から逆風にさらされることになった。

米政府も楽天から中国への顧客情報流出を警戒

加えて、楽天は、米国でもネット関連事業を展開していることから、中国とデジタル覇権を争う米政府も顧客情報の流出を警戒。日米両政府が足並みをそろえて、楽天を監視することになった。

こうした日米両政府の反応にも楽天は、「テンセント子会社の出資は純投資であり、業務協力を前提としていない。楽天と株主の間で情報は遮断され、中国当局への情報流出など懸念されるような事態は生じない」と説明する。楽天グループの三木谷浩史会長兼社長も4月30日、「日米両政府が監視を強める方針を固めたとする報道について『何をそんなに大騒ぎしているのか、まったく意味が分からない』と不快感を示した」「三木谷氏は『(テンセントから)出資をいただいたが、取締役の派遣もない。テンセントは(米電気自動車大手)テスラにも出資しており、一種のベンチャーキャピタルだ』と述べ、出資が経営に影響を及ぼす恐れはないとの認識を示した」(同日付毎日新聞ネット配信)という受け止め方をしていると報じられている。

だが、自ら「中国リスク」を背負い込むような出資受け入れは賢明な経営判断とは言い難い。

よほどデータガバナンスに自信があるのか、それともビジネスを優先するあまり個人情報保護の目配りがおろそかになったのか。楽天の真価が問われそうだ。