「外で発散」できないことが精神的ダメージになる

スナックやキャバクラは世の多くの夫や男性にとっての息抜きの場、流行りの言葉でいえば「サードプレイス」でしたが、職場の同僚やアルバイト仲間と話すことがストレス解消になっていた人にとっては、コロナ禍で職場に行けないこと自体が精神的なダメージにつながりやすいのです。

リモートワークといえば、スナックやキャバクラなどの接客商売の中には「オンライン飲み」を売りにして、自宅でお酒を飲みながら画面で女性と話せるサービスを始めるところがありました。そうしたサービスもいっときは話題になりましたが、非常事態宣言が解除されるとまったく聞かなくなりました。

夜の街に繰り出す男性客にとって、そうした店は単にお酒を飲んで女性と話すだけではなく、非日常の空気を味わうことが目的だったはずです。家族の目がある自宅で、わざわざお金を払ってクラブの女性とオンライン飲みをしたいと思う男性は、そんなにいないだろうと思われます。

実際、キャバクラなどには客が戻ってきているようです。私が今行っているパイロット調査では、2020年の1月と比べ、キャバクラやクラブに行く人の割合は多少減少が見られましたが、ほとんど変化はありませんでした。外でストレスを発散する誘惑には勝てないということが、この数字からは読みとれます。

新型格差社会』より

「目に見えない貢献」が評価されなくなった

リモートワークの普及で生じた働く人にとってのデメリットは他にもあります。新たに生まれた弊害の一つに、仕事の評価が「目に見える成果」に偏ったことが挙げられるでしょう。オンラインでは、部下が働く姿を上司はリアルに目にすることができません。そのため、数や成果物で表れる仕事の実績のみで個々人を評価する傾向が格段に強まりました。

その結果、コロナ以前には評価されていた、職場で人間関係の調整役を務めていたような社員や、雰囲気を良くすることでみんなの仕事の効率を上げていたような「目に見えない貢献」をしていた社員が、まったく評価されない状況に陥っています。