「会議の頻度も、不要な打ち合わせも増えた」という声

リモートワークは実際に対面しないだけに、お互いの考えていることが「空気で伝わらない」というのも見過ごせない難点です。メールやチャットなどの文章でやりとりすることも増えるため、リアルな会話であれば問題にならなかったことでも誤解を招いたりする可能性が増大します。

実際、リモートワーク導入が進んだことで、「リモートハラスメント」という新しいパワハラが増えているという報道も目にしました。オンライン会議において、同居する子どもの声や生活音について不快感を上司や同僚から示されたり、リアルな会議よりも時間調整がつきやすいことから会議の頻度が増し、リモートワーク導入前よりも必要のない打ち合わせが増えて困るという声です。

オフィスでのグループビデオ会議
写真=iStock.com/wagnerokasaki
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「リモートワークスタイル」の確立には時間がかかる

このように、リモートワークも決して良いことばかりではないのです。現在は日本企業にリモートワークが本格的に導入されてから日がまだ浅く、その運用法も試行錯誤中の会社が多いと思われます。社員、雇用者ともに余計なストレスを抱えないリモートワークのスタイルが確立するまでには、まだしばらくの時間がかかるでしょう。

リモートワークがこのまま定着していけば、子どもたちの職業観にも大きな影響を与えます。親が自宅のモニターで、英語を使って外国人とやりとりする姿を見る子どもは、自分も将来はそんなふうに外国語とIT機器を使いこなしながら働くのだろう、と自然に思う可能性が高まります。一方でリモートワークができない業種で家計を支えている家は、親の働く姿を子どもが見る機会がなかなかありません。仕事というものに対する感覚が、両者では大きく分かれていくことが今後予想されます。