コロナ禍以降、相談者の層が変わった

【太田垣】余裕はないけれども、普通にやりくりをして生活していた人、ということですよね?

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【高橋】はい、それまでは、働いていれば、とりあえず食べていくには困らない生活を送っていたと思うんですけど、そういう人が急に、奥さんのパート収入が途絶えて払えなくなってしまったとか、ご自身の仕事がなくなったとか……。

【太田垣】でもそれだけ、いざという時の貯えがないってことですよね。他にはどんな相談が増えましたか?

【高橋】ほかには、住居確保給付金の問い合わせも増えました。これは、私が自分のホームページのブログで、「コロナで家賃が払えない人は家賃給付金がありますよ」みたいな解説を書いたら、検索か何かで、その一文がすごくヒットしたみたいで、「住宅ローンにも適用されるのか」という相談が増えました。

【太田垣】そういった方には、どう対応されていたんですか?

【高橋】金融庁が全国の金融機関に、返済猶予などの相談には柔軟に応じるよう通達を出していたので、各金融機関のコロナ相談窓口に問い合わせをするようにアドバイスをしました。各金融機関では、比較的返済猶予のリスケジュールの相談に乗ってくれたりしていたので、何とかなったという人も多かったようですね。中には一定期間返済不要にしてもらって、立て直しができた人もいるようです。

【太田垣】コロナ禍でいつもと相談者の層が全然違ってきたんですね。

少しでも収入が減っただけでローンが払えなくなる人が多い

【高橋】普段の相談は、売らなくてはいけないとか、競売になるかどうか、滞納が何カ月といった問題が多いのですが、コロナ禍においてはそこまで追い込まれてないような人たちが、ドバッと一気に相談に来た感じですね。

【太田垣】普段の生活は問題なくても、ぎりぎりの状態でローンを払っていて、少しでも収入が減っただけでローンが払えなくなる状態の人が、すごく多いということですね。

【高橋】今回、印象的だったのは40代、50代、そして高齢者の相談が多かったことです。住宅ローンは80歳まで組めるので、35年でギリギリ組んで、年金生活ではローンを払えず、アルバイトをしている人がけっこう多いのです。

【太田垣】70代で現役の時と同じローン額を支払うだなんて、そりゃ厳しくなりますよね。

【高橋】40代、50代の現役世代でも、コロナの影響で本人の収入が減ったり、奥さんのアルバイトやパート収入がなくなり、住宅ローンが払えなくなってしまい、売却したくてもオーバーローンで売れないというケースも増えました。

【太田垣】それは切ないなあ。