低金利の中無理してローンを組んでしまった人の”低金利破綻”が増える

【高橋】金利の高い時代に家を買った人は、今でも3~4%の高金利で払っていたり、凄い人は6%位の金利をずっと払い続けていて、もう元金はとっくに払い終えているのに、利息分にお金を払っているという人も。

【太田垣】ここまで疑問とか抱かなかったのかしら。

【高橋】そこで、金融機関に金利を下げてもらえないだろうか? といった相談もありましたが、さすがに下げてもらえるところまでは無理だったようです。

【太田垣】高齢の方は大変ですよね。

【高橋】そうなんです。高齢の方は、昔のローンをそのまま引き継いで定年後も支払い続けている人がとても多いです。そのため、アルバイトやパートが出来なくなると破綻するというリスクを抱えています。

【太田垣】賃貸でも、高齢の方がアルバイトが減って家賃を支払えないというトラブルがありました。

【高橋】若い人でも、ギリギリでローンを組んでいる人がたくさんいますし、今は低金利なのでとりあえずフルローンで組む人が多いです。夫婦合算のペアローン等も目立ちますが、離婚のときは、このペアローン問題は本当に厄介です。

【太田垣】結局、皆さんギリギリ過ぎるのよね。

【高橋】今回のコロナのようなことが起こって、収入が減ったり途絶えたりしたら、一気に家計が回らなくなってしまうという人がとても多いと思いました。他にもサラリーマン時代にローンを組んで家を購入し、その後脱サラをしてフリーランスになって独立したけれども、コロナの影響で仕事がなくなったという人も少なくありませんでした。今後、低金利によって無理してローンを組んでしまった人の低金利破綻が必ず起こるでしょうね。

買う側の知識不足も問題

【太田垣】やはり、みんな背伸びをして買い過ぎですよね。良い物件を見ちゃうと、そっちが欲しくなるのは分かるけど。

【高橋】本当にそう思います。私も任意売却の仲介をしているので、販売の現場や中古物件でも、仲介会社さんがエンドユーザーさんに勧めているのを見ますけど、返済比率がぎりぎりでも、銀行も貸しますし、不動産屋さんも勧めるんですよね。今は低金利なので、取りあえず35年のフルローンでという話をしているんですけど、絶対に破綻するだろうなという人をよく見ます。でも、貸しちゃうんですから、貸手責任と言いたくなるような現状があります。よくないですよね。

【太田垣】こういった状況は、何が原因だと思いますか? もちろん売るほうは、2000万円の物件を売るよりは6000万円の物件を売ったほうが、仲介手数料も入るからいいと思うんですよね。買う側からしてみれば、銀行が貸してくれるのだから、自分には買える能力があると単純に思ってしまう。やはり買う側に、お金の知識が足りないってことですかね?

【高橋】足りないと思いますね、圧倒的に。目の前で計算された毎月の住宅ローンを家賃と比較して、「払えるんだったらいい」という感じで、35年で何千万というすごい借金を負うことに対して、あまり現実味を帯びてないというか。賃貸物件より分譲のほうが、やはり同じ値段を払ってもスペックのいい物件に住むことができるわけですから、単純に毎月の返済額を見て、後先のことを考えず、「同じ値段で持ち家を持った。やった!」みたいな感じになっているんですよね。

【太田垣】単純に「毎月の家賃よりお得です!」って話じゃないですよね。