投資破綻の相談も増えた

【高橋】コロナのように、未曾有の事態が起こることは誰もが想定していなかったとは思いますけど、ここまでの事態を想定しなくても、住宅ローンという借金は、少し厳しくなった時に一機に破綻に追い込まれるリスクがあるということを、もっとみなさんに知っていてほしいですよね。

【太田垣】本当にそう思います。

【高橋】賃貸だったら、解約して終わりですけど、住宅ローンは返済が滞ると信用情報にも傷がつきますし、うまく売れなかったら残債も残りますからね。

【太田垣】私がもし不動産売買の仕事をしていたら、返済能力に疑問があるような人に、高額な物件を売ったりしたくないなぁ。ただ不動産の仕事をしている人も、生活がかかっているわけですから、一概に非難はできませんけれど……。

【高橋】分かります。今は、コロナでお金を使うこともなくて、富裕層の中では不動産投資をする人が増えているのですが、一方で投資破綻の相談もすごく来るんですよね。

【太田垣】司法書士も、心の中では「これは、破綻するかもしれない」と思いながら登記しているんじゃないかなと思うもの。

物件も見ずに電話1本で決める医師や大企業のサラリーマン

【高橋】不動産投資ローンの相談者さんは、物件も見ずにひどい物件をひどいローンの組み方で契約しているケースもよくあります。

【太田垣】特に医師や大企業のサラリーマンの中には、物件も見ずに電話1本で決める人もいましたよ。私の周りでも、エリート医師が、不動産投資ですごく変な物件を買ってしまって、破産もできずに大変でした。

【高橋】社会的には地位が高く、頭もいいはずなのに、なんでこんなのにひっかかるのかという案件がすごく多くてびっくりします。不動産の知識がないのは仕方がないですが、相場ぐらいネットでも調べられるし、もうちょっと勉強をしたほうがいいですよね。

【太田垣】私の親の世代は、金利も8%とかあって、貯金さえすれば老後も安泰と思われていましたけど、今の時代は、そうではないですから。

【高橋】それで、老後が不安になって、不動産投資を持ち掛けられてだまされたり。本来、不動産投資というものはきちんと行えば堅い投資ですので、正しい判断をするためにも知識を養わないといけないと思います。