「改善」された業務日報から、なにを「視る」か

まず、はじめにメンバーから提出された業務計画を見て、「1週間の仕事量、1日の仕事量が多すぎないか・少なすぎないか」、つまり、「平準化」ができているかがわかり、適切に指導できるようになります。

また、「この仕事は週後半でよい」「あの仕事は朝イチでやるべきだ」のように、仕事の順序や準備などの段取りが適切か、工夫の余地がないかも確認できます。

そして、1日の仕事を終えて、特記事項に書かれたメンバーの反省を見て、翌日以降の仕事の進め方に問題がないか、あらためて検討できます。

メンバーをほめる機会をつくる

銀行で業務日報を活用したメリットとして、特に強調したいのは、「ほめる機会をつくれたこと」です。

OJTソリューションズ『トヨタの日常管理板 チームを1枚!で動かす』(KADOKAWA)

ポジションがディフェンダーのサッカー選手が「フォワードは点を取ればメディアにも持ち上げられて注目されるが、自分たちは『守って当たり前』と思われている。鉄壁の守りを敷いていても、ほんの小さな一度のミスで失点すれば、批判の矢面に立たされる」とぼやくのを耳にしたことがありますが、銀行の仕事もこれに似ています。

お客様のお金や情報を守るのは当たり前のことで、実はそれがどれほど難しいことだったとしても、ほめられる機会というのはあまりありません。

OJTソリューションズのトレーナーが改善活動でマネージャーに求めるのは、メンバーたちが仕事をやり切ったり、よい行いをしたりすれば、日常管理板の運用の中で、しっかりほめてあげてほしいということ。この銀行の現場でも、たとえば、窓口業務でメンバーのファインプレーを見かけたら、業務日誌に「お客様から○○と言われたときの対応は見事でした!」などと書き込み、具体的にほめることができます。

メンバーにしても、「あのとき、マネージャーは自分を見ていてくれたんだ」とわかれば、さらに業務への意欲がわいてくることは言うまでもありません。この銀行では日報を基点に改善の視点が育ち、さまざまな改善活動を実施。その結果、窓口担当の残業は3分の1まで低減されました。

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