「カネで勝負」の営業からの転換

募金型自販機などSDGsの取り組みは、ダイドードリンコ以外の国内の飲料各社にも広がっている。そのなかでダイドーは、オリジナルの音声機能を備えた自販機をもつことや、代理店を介さない直接営業を積極的に行っていることなどから、SDGs営業における効果が増していることを先駆けてつかんでいる。

「なんぼくれるんや」「どれだけ安うなるんや」。かつての自販機営業は、「カネで勝負」だった。営業先の法人に自販機の設置料をいくら支払うか、あるいはその自販機の飲料の販売価格をいくら割引き、福利厚生に貢献するかの提案で、自販機の設置場所を奪い合う競争が繰り広げられていた。しかし、この手の競争の原資が無限にあるわけではない。

そこに企業の社会的責任という新たな潮流をとらえた提案営業が台頭してきている。営業先の関心の変化もある。企業は、営利を越える社会性をもった存在だとの認識が広がるなかで、営業の最前線でSDGsが価値を高めている。

このダイドーが手応えを感じている新しい営業を支えているのは、一方的にならない課題解決型のSDGs提案である。単にSDGsをかかげさえすれば商談が進むわけではない。相手先の法人や地域の課題をとらえ、そこに自販機がどのように貢献できるかを検討し、提案する、ていねいな取り組みがその背後にある。

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