できなかったことが、できるようになるのが「育成」

私の考える育成とは、「できなかったことが、できるようになっていく」ことです。

たとえば、新人の編集者にいきなり「本を作れ」と命令しても作り方がわからないはずです。上司や先輩と一緒に何冊か担当するうちに、テーマや著者を決めて、企画書を作って、編集会議を通して……といった一連の流れが理解できてきます。

そうなったならば、「テーマや著者を決める」という最初の作業をやってもらい、アイデアが出てくるのを待つ。だいぶいい内容になってきたら、次はきちんと企画書にまとめてもらう。

写真=iStock.com/Olivier Le Moal
※写真はイメージです

育成とは、そういうことの繰り返しでしかありません。それが最終段階まで到達すると、「本を作れ」と言うだけで作れるようになるわけです。

スタートからゴールの間に「結果点」という中間点を作る

これはある組織コンサルティング会社の考え方ですが、スタート地点から求めているゴールまでの間に、「結果点」という中間地点を作っていくやり方です。その結果点を、部下のレベルに合わせて、どこに置くかが上司の力量と言えます。

石倉秀明『これからのマネジャーは邪魔をしない。』(フォレスト出版)

結果点が遠すぎると進め方がイメージできないため、ほとんど動けなくなります。逆に結果点が近すぎると、簡単すぎて成長がありません。現状できていることの次の結果点を設定してあげることが重要です。

そのためには、部下がどこまではできて、どこで詰まっているかをしっかり理解しておく必要があります。だからこそ、行動をマネジメントするのではなく、成果をマネジメントしないといけません。成果を見て、詰まっている原因を改善するのです。

たとえば、毎日100件電話しているのに商品が売れないメンバーがいたとします。その時、150件に増やすよう指示したところで何も変わらないでしょう。そんな時は、つまずいている点を見つけてあげることが大事になります。

①電話をかけてはいるものの、かけ方がよくない
②営業トークが間違っている、営業マニュアルから外れたやり方をしている

……など、つまずいている部分に気づくはずです。

それを見極めて、頑張れば到達できそうな結果点を定めてあげる。それができたら、また次の結果点を定める。その繰り返しで成果を上げられるようになるはずです。

きちんと成果を上げること、ミッションを達成することにフォーカスしたマネジメントをすれば、必然的に育成はなされていくのです。

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