『一蘭』のすごいところは接客リスクがないところ

『一蘭』は味の他にもさまざまな工夫があってすばらしい。

相場より少し値段は高いものの、ラーメン自体もおいしいと思う。でも、もっともすごいのは「接客リスク」がないところだ。意識するようになってから、「接客リスク」のない飲食店を探してみたが、ほとんどなかった。

それほど『一蘭』はすごいということだ。

まず、『一蘭』はお客さんから見えない内側でラーメンを作っている。アルバイトのスタッフが「笑顔」なのか「しかめっ面」なのかが見えない。つまり、「あの店員、感じ悪いな」と思われるリスクがほとんどない。「いらっしゃいませ」は機械が率先していってくれる。ここでも、「スタッフが挨拶してくれなかった」「感じが悪い」といったクレームとは無縁ということだ。

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ひとりひとりがブースで区切られていてお客さんが長居することはなく、それにまつわるトラブルもないだろう。

お客として初めて『一蘭』に入ったときは、オーダーシートを書く意味が正直わからなかった。でも、そうすることでオーダーミスがなくなると気づいた。

細かいところまで常識を疑う

少し話は変わるが、『一蘭』では「セントラルキッチン」も導入している。

セントラルキッチンとは、複数の店舗の調理を集約する施設やシステムのことだ。規模のメリットでコストを下げることができ、味や品質のムラを防ぐことができるのがメリットだ。

ただし、とんこつラーメン屋の場合はデメリットも大きい。店舗で作っているからこそ、その様子や匂いがおいしそうに感じられて集客につながるのだ。

その集客効果がなくなってしまっているのに『一蘭』は人気なのだから、それ以上の魅力を提供できているということだ。

細かいところまで常識を疑い、必要のないものを削って効率を高めているので、収益性はかなり高くなっているはずだ。

10年くらい前に『一蘭』のアトレ上野店ができたときには1日で4000食分くらい売りあげたそうだ。客単価も1000円くらいと高め。単純計算で1月に1億円以上の売上だ。1店舗で立派な会社規模の売上だ。