あらゆる感情を受け止めること

例えば、部下がこの言葉を放った理由は、あなたの過去の発言に対して、感情を害したからかもしれません。あなたがどこかのタイミングで発言した内容に部下が反感を持ち、その感情を自分で処理できず、怒りの矛先をぶつけるタイミングを探っていた、という可能性もあるでしょう。

もし、部下の中でそんなことが起きていたなら「相手の問いかけに返答する」対応では解決に繋がりません。相手の感情をしっかり理解し、その感情を受け止める方向で対話を組み立ててこそ、初めて関係性が向上します。

あなたがその部下との間に「信頼関係をつくりたい」と考えるならば、相手のあらゆる感情を受け止めることがその糸口になります。そのうえで、両者がよりよい関係を築けるように対話をしていくことが大切だと私は考えています。

このようなときの対処法として私のおすすめは、「相手の真意を理解すること」です。

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反応は先送りして、自分の感情を観察する

とは言え、実際、忙しいスケジュールの合間を縫って部下の話を聞こうとした矢先、こんな言葉が部下から飛び出したら、「部下の発言の真意を探ろう」という気持ちにはなりにくいと思います。そこで私からの提案です。こうした状況に遭遇した場合、相手の真意を理解するために、次の2つのステップを踏んでみましょう。

ステップ① 反応を先送りする
ステップ② 自分の感情を観察する

1の「反応を先送りする」では、部下に対して次のような言葉を使ってみましょう。

・「ああ、そうか。言っている意味がわからないんだね」と、「復唱する」
・「そうなんだね」「そういうこともあるよね」と、とりあえず「受け止める」
・「というと?」「それで」「もうちょっと教えて」と、「合いの手」を入れて、さらに相手の言葉を引き出す

言葉のリストとしては一見なんでもないのですが、これを部下に対して瞬間的に使えるかどうかは別問題です。上司が意識して取り組むべき課題のひとつといえます。