地域を支えるのは小規模な家族単位の農家
また、国連食糧農業機関(FAO)によれば、家族農業は、開発途上国、先進国ともに、食料生産によって主要な農業形態(世界の食料生産額の8割以上を占める)となっており、社会経済や環境、文化といった側面で重要な役割を担っている。
日本の農林水産省も、家族農業経営については地域農業の担い手として重視しており、食料・農業・農村基本法に基づき家族農業経営の活性化を図ろうとしているとのことである(農林水産省「国連『家族農業の10年』2019‐2028」)。
なお、この基本法は、旧農業基本法に代わる農業に関する制度や政策等の基本方針を示す法律として1999年に定められ、食料の安定供給の確保、多面的機能の発揮、農業の持続的な発展、農村の振興、の4つを基本理念として掲げている。
農業生産だけでなく、地域を支えるのは小規模な家族単位の農家であり、大規模な農業法人ではない。政府は、農業の規模を拡大することによって地域の衰退を食い止めようとするのではなく、小規模農家を前提に、いかにして農業を守り、地域を守っていくかを中心に据えて政策を展開すべきである。