セクハラ、パワハラの原因にも

そして日本一の同質集団である政府が「いくら悪い情報が入ってきても、一度決めたことは後戻りできない」というリスクを持っていることが露呈したのがコロナへの対応です。「これはまずいですよ」と誰も言えなかったから、様々な混乱が起きました。また世間のモラルではなく、集団内の規範を重んじることは「セクハラ」「パワハラ」の原因にもなります。

白河桃子『働かないおじさんが御社をダメにする』(PHP新書)

多様性の推進、同質性の排除はグローバルな潮流で、特にリーマン・ショックの反省から、米国の金融業界が同質性からの脱却を目指していることがよくわかります。

ゴールドマン・サックスは「取締役会が白人男性だけの企業のIPOは引き受けない」と発表し、自社のパートナーについても、その多様性を推進。2021年1月1日付で就任するパートナーについては、全体の47%を女性、黒人、アジア系、ヒスパニック系とすると表明しています(※5)。さらに2020年12月には「投資先の米国企業に対し、取締役会のダイバーシティ(多様性)強化を求める方針を示した。女性やマイノリティーの起用拡大を求める」という声明を出しています(※6)

会議室にいるのは銀髪の男性幹部ばかり

こんな欧米から見ると意思決定層は高齢の男性ばかりで、会社の平均年齢も「45歳以上」が多い日本企業は「同質性が高すぎる」「なんてリスキーなんだ」「この人たちに任せて大丈夫か」と不安に思われているのではないでしょうか。

これが「同質性のリスク」で、日本の大企業は特に「同じような経歴」「同じような働き方」「社内型スキルに特化した同じようなキャリア」「同じような属性(特に男性日本人正社員)」という特徴が挙げられます。アリババの創業者のジャック・マーも日本を尊敬する国と言いながらも、「残念なことがある。会議室に行くといるのは銀髪の男性幹部ばかりだ」と指摘しています(※7)

[5]ロイター通信「米ゴールドマン、新パートナーを発表 多様性強化」2020年11月13日
[6]ロイター通信「EXCLUSIVE-ゴールドマン、投資先企業に多様性強化を要請へ」2020年12月10日
[7]Business Insider Japan「アリババのジャック・マー会長『日本を尊敬。だが惜しいことが2つある』退任直前の助言」2019年8月30日