出産後、数年間の時短勤務を普通とする企業も増えているが、制度を利用していない人の不公平感もつのっている。原因を分析しながら、真の女性活躍につながる解決策を探ります。
自宅で仕事の赤ちゃんと母親
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働く女性たちが順番に出産、時短勤務になっていく時代

ここ数年、「育休や時短の制度に甘える女性がいる」という声を人事関係者から聞くことが多くなった。長期の育休や時短を利用する女性社員に対し、「ズルい」という声も。

その背景には会社の制度設計を上回るほどの制度利用者の増加、そして長期化傾向がある。

2009年6月の「育児・介護休業法」改正により、大企業において短時間(時短)勤務が措置義務化された。その後、12年に従業員100人以下の企業まで対象が拡大。会社員の女性が出産した場合、「産休→育休→時短」という「両立支援制度の連続的な使用が一般化しつつある」(※)。大企業ほど法定の「子が3歳まで」を超えた「小学校入学以降も」利用できる時短勤務を制度化している。そこで、時短勤務など両立支援制度を利用する社員(主に女性)と、制度を利用していない同僚との間に軋轢あつれきが生じているのだ。

※参考文献『ワーク・ライフ・バランス支援の課題 人材多様化時代における企業の対応』(佐藤博樹、武石恵美子編 2014年東京大学出版会)