医者が問診するように全体を分析する

そこで医者が患者に問診を行うように、全体の分析を行うことが重要になってきます。具体的には、製造プロセスごとや製品ごとに工場のオペレーションを「切り分け」ていくと、不良品が多い原因がどこにあり、何を直せば不良品を削減できるかが分かっていきます。不良品増加の原因となっているオペレーションが「課題」であり、この「課題」を特定することで、具体的な改善策を見つけることができるようになります。

仮に陶器の製造の工程が、(1)陶土とうどを作る、(2)陶土から皿をろくろで作る、(3)かまで焼き上げるという3つの工程から成り立っているとしましょう。「問題」が起きているとすれば、この3つの工程のどれかで「課題」が生じているという仮説を立てることができます。

「陶土を作る」工程の分析では、陶土の品質を調べ、土の成分の構成が以前と変わっていないか、含水量が変わっていないかといったことを調べることで改善の糸口を見つけることができます。

また、「陶土から皿をろくろで作る」工程で問題がある場合は、皿の形に成形するときに問題がないか、何かこれまでと違う作業をしていないかを分析します。

そして最後の「窯で焼き上げる」工程では、窯の温度や焼成時間が以前と異なっていないかについて検証を行います。このように製品に不良品が多いという事実だけでは見えてこなかったやるべきことが、プロセスを切り分けることで明らかになり、解決の糸口を見出しやすくなるのです。

工程以外にもさまざまな分け方が考えられる

なお、問題を分析する際、工程別以外にもさまざまな分け方を考えることができます。複数のタイプの皿を製造しているとき、皿ごとに不良品率を見てみるのも1つの方法です。そして、ある特定の皿だけ不良品率が高いことが分かれば、不良品率が高い皿と他の皿の形状や工程を比較することで、問題を特定できる可能性が高まります。

あるいは複数の工場を利用している場合、工場別に不良品率を調べて、その間に差がないかを調べる方法もあるでしょう。