寝る前のホットミルクは睡眠の質を低下させる
よく、寝る前にホットミルクを飲むとよく眠れるといわれていますが、実はこれは、あまりおすすめできません。意外に思われる方も多いと思いますが、理由は大きく2つあります。
まず、時間の問題です。メラトニンは、朝の光を浴びて14~16時間くらい経過して暗くなると分泌されます。7時に朝の光を浴びて朝食を食べたとすれば、だいたい夜の9時から11時です。牛乳から摂取したトリプトファンがメラトニンになるまでにはそれなりに時間が必要なので、寝る直前では間に合わないのです。
もう1つの問題が、牛乳には脂質や糖質も含まれていることです。これらの成分が胃の中にあると、睡眠中も消化器のはたらきを誘発し、からだの機能が目覚めてしまう可能性があるのです。寝る前に牛乳を飲むことにより、質の良い睡眠を得るどころか、かえって眠りの質を低下させてしまうことになりかねません。
実際には、ホットミルクを飲むと、内臓の温度がいったん上がります。眠気は、一度上がった体温が下がっていくときに出現するので、ホットミルクを飲んだあと、しばらくすると眠くなる可能性はあるにはあります。
しかし、先ほど述べた通り、牛乳をおなかに入れてしまったことで、からだが熟睡できなくなる可能性は否定できませんし、どうせなら、就寝時間頃に分泌されるメラトニンの原料になるように、早めに飲んだほうが得策です。
ですから牛乳は、毎日、日中のうちに、せめて夕方には飲んで、質の良い眠りと免疫力アップに役立てるようにしましょう。
緑茶をぬるめの湯で淹れるだけで睡眠の質が上がる
抗酸化作用をはじめ、抗がん作用、抗菌作用、血圧や血糖の上昇を抑える作用など、さまざまな健康効果を持つ緑茶。免疫力アップのためにも、1日に何杯もいただきたいものです。
でも、ちょっと気になるのが、夜間。緑茶にはカフェインも含まれているので、寝る前に濃いお茶を飲んで、眠れなくなってしまったという人もいるでしょう。
ご存じのようにカフェインには覚醒作用がありますし、利尿作用もあるため、いざ寝ようと思ったらトイレに行きたくなって目が覚めてしまった、ということもあり得ます。
そこで、夜もお茶を飲みたくなる緑茶好きの方々に、ひとつ良い情報をお伝えしておきましょう。
夜に緑茶を飲むなら、ぬるめの湯でじっくり淹れたものにすること。60度ほどに冷ましたお湯で、いつもより時間をかけて淹れるのです。
こうすると、カフェインの抽出が減るだけでなく、うまみもたっぷり抽出されます。苦みは減ってしまいますが、甘みが感じられておいしいです。温度が低いと、緑茶に含まれているビタミンCの損失も少なくてすみます。
緑茶のうまみや甘みを出す成分はテアニンといい、比較的低い温度で溶け出す性質を持っています。リラックス効果もあるので、テアニンがたっぷり溶け出したぬるめのお茶は、寝る前に気持ちを落ち着かせるのに最適な飲み物といえるでしょう。
そもそも温度の高い飲み物を飲むと、カフェインが入っていなくても、温度の刺激により目が覚めてしまいます。水出しした冷たいお茶の場合は、テアニンが豊富でカフェインは少なくなりますが、あまり冷たい飲み物を飲むとからだが覚醒してしまうので、おすすめできません。
やはり夜のリラックスタイムは、ぬるめの湯でじっくり淹れたお茶を、ゆったりした気分で味わってみてください。