お風呂上がりの牛乳は、睡眠の面からも理にかなっていた

温泉旅館やお風呂屋さんに行ったとき、ひと風呂浴びたあとに飲むものといえば、やはり牛乳ではないでしょうか。冷たい瓶入りの牛乳は、お風呂上がりに飲むと、いつも以上においしく感じるものです。

最近は銭湯も減って、お風呂上がりに牛乳を飲む人は少なくなってしまったかもしれませんが、実はこれは、睡眠の質を上げる、なかなか良い習慣です。あまりよく眠れていないと感じる方は、自宅でもお風呂上がりに実行してみてください。

理由は、牛乳にトリプトファンをはじめ、たんぱく質の構成成分であるアミノ酸が豊富に含まれているから。これらは、睡眠ホルモンであるメラトニンの大事な原料になる成分です。

そもそもたんぱく質は、免疫力をアップさせるために、もっとも重要な栄養のひとつです。

体内のたんぱく質が足りなくなると、ウイルスなど病原体を殺すはたらきを持つナチュラルキラー細胞・通称NK細胞や、抗体が減少してしまいます。

新型コロナウイルスの流行で、よく耳にするようになった「抗体」とは、免疫ブログリンと呼ばれるたんぱく質で、体内に入り込んだ病原体から私たちを守るためにつくられるものです。“一度はしかにかかると体内で抗体ができるので、もうはしかにはかからない”という話は、皆さんもご存じでしょう。

ですから私たちは、免疫力を保つためにも、積極的にたんぱく質を摂取する必要があるのです。

その点、牛乳は、9つある必須アミノ酸のすべてを含んでいる、優れたたんぱく源。免疫力アップにぴったりの牛乳を毎日飲んで、しっかりたんぱく質を補給していきましょう。

メラトニンの抗酸化力はビタミンよりもはるかに高い

トリプトファンなどのアミノ酸をたくさんとったほうが良い理由は、睡眠の質が上がるからだけではありません。

睡眠ホルモンとして有名なメラトニンは、抗酸化作用が非常に強く、私たちのからだを老化や病気から守るはたらきもしているからです。

抗酸化作用とは、文字通り、酸化作用に抗う作用で、つまり、私たちのからだが酸化する(サビる)のを防ぐ作用のことです。

私たちの体内には、普通に生活しているだけで、活性酸素という物質が生まれています。これは、普段は病原体などから私たちを守るはたらきをしてくれているものですが、量が増えすぎると、私たちのからだの組織にもダメージを与えてしまうものでもあります。

抗酸化作用がある成分として有名なものに、ビタミンCやビタミンEなどがありますが、メラトニンの抗酸化力は、ビタミンよりもはるかに高いといわれており、免疫力アップの強力な味方になり得るのです。

そして、メラトニンの材料であるトリプトファンを含んだ食品の代表が、牛乳です。ですから、睡眠と免疫力のために、毎日牛乳を飲むことが大切なのは確かです。

でも、ここでひとつ注意していただきたいことがあります。