三菱重工の受注案件を「3密状態の部屋」で作業

昨年10月の記事では、PwCジャパンに内部情報を漏らされた金融機関としてモルガン・スタンレーとシティバンクの名を挙げたが、実はそれだけではない。筆者は取材の段階で、それらの一部から匿名で「内部情報の漏洩は認識している」とのコメントを得ており、PwCジャパンはどう申し開きをするのだろう。大手の会計事務所は有限責任法人になっているが、一部の役職は無限連帯責任を負っているはずだから損害賠償でも請求されたら大変だ。

コンプライアンス上の問題として、社内では三菱重工業の基幹システムの受注案件が昨夏から浮上していることも明らかになった。

複数の情報提供者の話によると、システム開発の技量が素人レベルの社員をこの案件に数多く投入し、数十億円の報酬を得ているうえ、社員を新型コロナウイルスへの感染が危ぶまれる3密状態の部屋で仕事をさせていた。「これを社員が労働基準監督署に訴え、労基は劣悪な労働環境を改善し、残業代を支払うよう指導したにも関わらず、PwCジャパンはなにもしない」(PwC関係者)という。

写真=iStock.com/kimtetsu
MRJ(三菱リージョナルジェット)は2020年10月以降、事実上の開発凍結状態にある。

PwCジャパンは筆者の取材にこうコメントした。

「著しく事実と異なる内容が含まれていますが、顧客が存在する個別のプロジェクトについてはお答えすることはできません。一般に、PwCでは、システム開発プロジェクトを受注する際、プロジェクトの内容や規模に応じて必要なスキルと知識を持った人材を適正人数配置し、適切な管理運営に努めております。また、プロジェクトにおいて課題に直面した場合や、顧客やプロジェクトメンバーからプロジェクトの進め方等について意見が寄せられた場合には、課題を解決し、プロダクトやサービスの質を高めるため、それらに真摯に対応しております」

「どうせクライアントはバカだからバレはしない」

しかし、頭隠して尻隠さず。LIBOR問題を話し合っている最高法務責任者の谷口氏は三菱重工の件でも社内で懸念をあらわにしており、やはり前出のRoss Kerley氏に「社員から訴えられる可能性がある」とメールで相談。そこではPO(当プレジデントオンラインをPwCではこう呼ぶ)に「ぞっとするような記事」が出ることを心配していることも書き記している。最高法務責任者が強く懸念しているにも関わらず、こうした状況が改善されないのは、PwCジャパンの経営全体に問題があるからだろう。

三菱重工と言えば、三菱リージョナルジェット(MRJ)の開発が凍結されたことが記憶に新しい。基幹システムの刷新とMRJの開発中止に直接の因果関係はあるまいが、PwCジャパンは日本企業にパラサイトして競争力を殺いでいるのではないか。

LIBOR問題でも三菱重工の件でも、PwC関係者から共通して伝わってくるのは「どうせクライアントはバカだからバレはしない」という上層部の発言だ。