ミーティングの招集通知には“Libor Matter”とあった

昨年10月28日に「顧客情報を故意に漏洩 4京円市場に食いつくPwCジャパンの暗部」を配信して、3カ月がたった。それは米モルガン・スタンレーやシティバンクの内部情報を、PwCジャパンがみずほフィナンシャルグループや三菱UFJフィナンシャルグループ、農林中金、あおぞら銀行などに漏らしていたという内容である。情報漏洩には日米のパートナーが関わっており、国際的で組織的な不正である可能性を指摘した。

よほど触れられたくない不祥事を突かれたせいか、PwCジャパンはもちろん、情報を得ていた金融機関からも苦情や訂正要求は一切来ていない。しかしこれがいかに深刻な不祥事であるかは、PwCグループ内での対応が証明している。

この記事が掲載される1カ月も前の昨年9月24日午前10時から、英国本部と日米の法務最高責任者が鳩首会談を催していたのだ。ミーティングの招集通知をみると、表題が“Libor Matter”となっているから、筆者が送った質問状を見て慌てて対応を協議したに違いない。

ロンドンにあるPwC英国本部ビル。その形から「バットマンビル」と呼ばれている。
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ロンドンにあるPwC英国本部ビル。その形から「バットマンビル」と呼ばれている。

情報漏洩を主導していた日本人パートナーは金融庁出身

会議を招集したのは、米国法人の主席弁護士を務めるEliza Nagle氏で、Andrew Oosterbaan氏は米国法人の法務担当マネージングディレクター。Steve Hamilton氏も米国法人のリスク・品質責任者である。

Laurie Endesley氏はPwCグローバルの最高コンプライアンス・倫理責任者兼グローバル副法律顧問で、日本法人では法務最高責任者の谷口洋一郎氏と、最高リスク責任者のRoss Kerley氏に参加要請があった。彼らはいずれもPwCグループの社内弁護士である。これだけの面々がそろっているのだ。すでにPwCではLIBOR問題が日本法人だけの問題ではなく、PwCグループ全体を揺るがす問題になっているのではないか。

顧客情報の漏洩を主導していた日本人パートナーは金融庁出身で、顧客に対して常々「金融庁とはつながりが深く、その内部事情はよくわかる」と言い放っていたことが方々から聞こえてくる。金融庁もこの迷惑行為にはほとほと困り抜いていることだろう。