PwCが抱えるパワハラよりもはるかに大きく深刻な問題

壊さなければ止まらないものなら、思い切って壊してやろう……とも考えていたが、PwCジャパンはすでにその必要がないほどぶっ壊れていた。

2018年7月31日、イギリス・ロンドンのプライスウォーターハウスクーパース(PWC)の敷地内を通る女性。
写真=EPA/時事通信フォト
2018年7月31日、イギリス・ロンドンのプライスウォーターハウスクーパース(PWC)の敷地内を通る女性。

大手会計事務所プライス・ウォーターハウス・クーパース(PwC)の日本法人に深刻なパワハラがあることを伝える「【続報】『泥沼パワハラ』に怒るPwC社員たちから来た内部通報の嵐」をプレジデントオンラインに掲載したのは3カ月前だった。その後も内部通報の嵐はやまず、最近はむしろエスカレートしている。

詳細はここでは触れないが、ひとつ書くとすれば、パワハラに悩まされた現役社員やOB・OGは、PwCを相手取った集団訴訟の準備を進めている。PwCジャパンは知らないだろうが、パワハラ問題に正面から向き合おうとしない木村浩一郎代表に対する反旗が公然と翻ろうとしているのだ。組織が内側から崩壊するときはこんなものかもしれない。

それはここでいったんおくとしよう。実はこの3カ月間、PwCが抱える別の問題――パワハラよりもはるかに大きく、深刻な問題――について慎重に取材を進めてきた。筆者とチームストイカは、PwCジャパンを丸裸にする用意がある。

海外金融機関の内部情報が国内大手に提供されていた

「これは大問題になるのではないか」――。

金融関係者や公認会計士らは、この話を聞いて一様に驚く。なにしろ世界でも指折りの大手会計事務所が一種の産業スパイとしてそのお先棒を担いでいたのだから。

問題の概要はこうだ。PwCジャパンのコンサルタント部門であるPwCコンサルティングが顧客金融機関の内部情報を他の金融機関に漏洩していた。筆者とチームストイカの取材によると、情報の漏洩には複数の経営幹部が関わっているうえ、海外の有力金融機関の内部情報が国内の大手金融機関に提供されていたことから、組織的でグローバルな不正である可能性が高い。

事態を重くみた金融庁と日本公認会計士協会はこの問題の調査をすでに始めている。