暗号資産はファンダメンタルの裏づけに乏しい

数年前には一大ブームを起こした暗号資産。今でも取引を行っている方は数多くいます。暗号資産は株式に比べると、とにかく値動きが荒いです。しっかりと損切りをしないとあっという間に資産半減、ということもよく起こります。

もう一つ、暗号資産はファンダメンタルの裏づけに乏しいため、今ついている価格が適正値なのか、割高なのか割安なのかが判断できないという難点があります。

株式であれば、業績に応じてあるべき企業価値というのがだいたい計算できますから、今ついている株価が割安か、割高か、という判断は比較的しやすいです。しかし暗号資産は単なる通貨ですから、ファンダメンタル分析をして現時点での価値を把握することが困難です。

価格の値動きが極めて大きく、価格が上下どちらに動くかも分からないというのが、投資初心者に暗号資産取引をお勧めしにくい理由です。

ファンダメンタル分析
投資したいと思っている企業の業績や財務を調べたり、相場全体をとりまく経済情勢などを分析したうえで投資判断を下す手法のこと。純粋に、過去の株価の値動きから現在や未来の値動きの方向性を把握する「テクニカル分析」と双璧をなす株の分析法です。

少額でも可能で長期投資もできる株式投資は始めやすい

最後に、株式投資です。株式は、10万円出せば買える銘柄もたくさんあります。不動産投資のように大きな金額も必要なく、借り入れをする必要もありませんから初心者でも気軽に始めることができます。

足立武志『お金偏差値30からの株式投資』(扶桑社新書)

また、FX取引のように短期間で取引をする必要もなく、じっくり何年も持ち続けることもできます。暗号資産と違ってファンダメンタル分析によって企業価値を調べ、株価が割安か割高かを算定することもできます。

不動産投資は値上がり益(キャピタルゲイン)よりも安定的な利回り(インカムゲイン)が得られる、というメリットは確かにあります。でも、無理に借り入れをして不動産投資をするのではなく、上場しているREIT(リート:不動産投資信託)に投資すれば、比較的高い利回りで少額でも不動産投資をすることができます。

税金面で考えても、不動産投資や暗号資産は最高税率50%超の総合課税ですが、株式投資やREITは20.315%の分離課税ですからメリットが大きいです。

無論、株式投資でなければいけないということは一切ありません。しかし、大きな失敗をする可能性が他の投資より少なく、正しく取り組めば成果が出やすいという点で、やはり筆者としては株式投資をお勧めしたいのです。

REIT(リート:不動産投資信託)
多くの投資家から集めた資金で、オフィス、商業施設、マンション、物流倉庫などの不動産に投資し、そこから得た賃料収入を投資家に分配する金融商品のことです。中でも「J-REIT(ジェイ・リート)」は証券取引所に上場され、株式と同じように売買できます。
分離課税
他の所得と分けて課税されることです。株式や投資信託の取引で得た値上がり益や配当・分配金収入は分離課税方式で課税されるのが一般的です(配当・分配金収入は総合課税も選べます)。分離課税の場合、その他の所得額に関係なく、投資で得た利益に対して所得税と復興特別所得税(2037年末まで)が15.315%、住民税が5%、合計20.315%の税金がかかります。
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