低コストで長期、積み立て、分散ができることから、サラリーマン投資家に人気の「インデックス投資」。リスクはないのだろうか。農林中金バリューインベストメンツ最高投資責任者の奥野一成氏は「忙しく働く人たちの資産形成にとってインデックスへの積み立て投資は有力な選択肢だ。しかし、見過ごされがちなリスクもある」という――。
見過ごされているインデックス投資のリスク
「忙しいビジネスパーソンは、インデックス・ファンドを買え」は本当に正しいのか?
この問いに対して結論から言いましょう。
「正しい。ただしインデックスによります」
そもそもこの議論をするときには、インデックスとは何かということを解説する必要があるでしょう。
インデックスとは簡単に言うなら、株式市場全体の平均を示す指数のことです。例えば、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)は日本株式の代表的なインデックスで、米国株式にはS&P500やNYダウ30種などがあります。これらのインデックスの値動きを見れば、市場全体の状況を大雑把に押さえることができます。
インデックスと連動した値動きを目指して運用される投資信託のことをインデックス・ファンドといい、さまざまなインデックスに連動した投資信託が販売されています。
例えばTOPIXに連動するインデックス・ファンドは、ニッセイTOPIXインデックス・ファンド(ニッセイ)、eMAXIS Slim国内株式(TOPIX)(三菱UFJ国際)など運用会社ごとに存在するのが普通です。これらのインデックスに連動する運用のことをパッシブ運用と言います。
運用会社は市場インデックスを模倣するようにポートフォリオをパッシブに(受動的に)作るだけなので、運用会社としての企業調査をする必要もなく、ポートフォリオマネジャーの投資判断が介在する余地はありません。