※本稿は、高橋ダン『僕がウォール街で学んだ勝利の投資術』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
ウォール街では常識だが、個人投資家のほとんどは理解していないこと
短期投資の目的は、長期積み立ての部分を含め、全体のパフォーマンスを上げるためです。ただし、ここで知っていただきたいのは、単にリターンを高めただけでは、投資が成功しているとは言えない、ということです。
今からお話しすることは、金融リテラシーを高めるうえで、非常に重要なポイントです。ウォール街では常識ですが、個人投資家のほとんどは理解していないと思います。ぜひ、あなたに理解していただきたいと思います。
Aさん:ひとつの銘柄(株式)に投資して、年8%のリターン。コロナショックの際には一時、50%の値下がり
Bさん:10の商品に投資して、年8%のリターン。コロナショックの際には一時、20%の値下がり
多くの方はBさんを選ぶのではないでしょうか。僕も同じです。
なぜなら、同じリターンを得られるなら、値下がりの幅が小さい方が望ましいからです。一時的とはいえ、50%もの値下がりに耐えるのはハードであり、ストレスを感じます。ストレスが小さく済むBさんの方がいいはずです。
収益率の高さも大事だが、標準偏差の低さも重要
もうひとつ例を挙げましょう。
Aさん:ポートフォリオの収益率は12%で、標準偏差は10%
Bさん:ポートフォリオの収益率は8%で、標準偏差は5%
難しい言葉が出てきましたね。
収益率とはリターンのことです。
そして標準偏差とは、バラツキの大きさを表す指標です。標準偏差が低いということはバラツキが少ないこと、標準偏差が高いということはバラツキが多いことを示します。バラツキが多いとハラハラしますから、標準偏差は低いのが望ましいと言えます。
標準偏差が低いのはBさんです。しかし、収益率はAさんの方が上です。さて、あなたはAさんとBさんのどちらを選びますか?
僕が選ぶのはBさんです。なぜか。それは、Bさんの方が「シャープレシオ」が高いからです。