ストレス反応は良いパフォーマンスを引き出す

逆に、ポジティブな姿勢でストレスに向かうと、ストレスの悪影響が減るという結果も報告されています。マクゴニガル博士が前述のTED Talkの中で紹介しているのは、ハーバード大学の心理学マシュー・ノック教授らによる研究です。

ストレスを感じると、私たちの体にはさまざまなストレス反応が起こります。スピーチの前に緊張して、胸がドキドキするのもその一つです。

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ノック教授らは、スピーチ前の被験者の2つのグループに異なる説明をしました。グループ1には、緊張などのストレス反応の医学的側面を説明し、良いパフォーマンスを可能にするための心や体の反応であると解釈するよう促します。

グループ2には、そうした説明なしに、緊張などのストレスを回避するには、その原因と考えられるものを無視することだと伝えます。

スピーチ後の検査により、グループ2より、グループ1の被験者は、心肺機能の乱れが少なく、集中力も高まっていたことが分かったのです。つまり、グループ1の説明のように、ストレスをポジティブに解釈できると、ストレスの悪影響が減り、良い方向に心や体を向かわせることができるのです。

同様に、テストの前にストレス反応が良い成績につながると伝えると、体へのストレス反応が減少し、テストの成績自体も上がるという報告もされています。

サポートが必要なときはプロのカウンセラーの手を借りる

これらの実験が示すように、ストレスをポジティブに解釈するために大切な第一歩は、適度なストレス反応が自分にとって良い効果をもたらし得ると理解することです。

読者の方はここまでで、すでにこの点をご理解いただいたので、すでにストレスとポジティブに付き合う第一歩をクリアしていただいたことになります!

この他にも、たくさんのストレスとうまく向き合う方法が考案されてきました。ストレスを感じたり、なぜそう感じているのかを考える。何か起きた時にどう感じるかなど、心の中でシミュレーションして「もしも」のシナリオを考える。目標設定をしてそれに集中する。

それからストレスが溜まってしまったら、休憩したり、笑ったり、体を動かしたりすることも効果的だとわかっています。さまざまなストレスマネジメントのテクニックがあるので、実際に自分で探したり試したりして、良いと思われるものを子どもと一緒に実践してみましょう。

最後に、「ストレスが溜まってまずい」と少しでも思えた時には、迷わず、躊躇なく、プロのカウンセラーや医師に相談することが必要です。

ストレスは誰しもが抱える現代社会の問題です。サポートが必要なことは恥ずかしいことではありません。子どもや自分の能力の限界を示すものでもありません。適切なサポートで、子どもの学習能力を最大限に引き出せるようにしていきましょう。