間違った学習習慣2 「テストで理解度や能力を測る」
さて、テストとストレスについて前述しましたが、そもそもテストなどのストレスになってしまうようなものをやらなくてはいけないのはなぜなのでしょうか?
まずシンプルにテストの目的として考えられるのが、現在の自分の理解度や能力のレベルを知るということです。
国や地域の標準学力テストや各団体が行う資格試験、学校の入学試験や期末試験だって、目的こそ違うものの、結局は、受ける生徒の能力を測定するツールなのである。こうした考えは非常にオーソドックスに思えるかもしれませんが、ことに学力試験の現実はそれほど単純ではないようです。
例えば、アメリカの入試用の標準試験は、生徒の学力よりも、親の収入に強く相関していることが度々指摘されています。また、前述のように、ストレスやストレスに対する姿勢によっても試験の結果が変わってきます。その日の体調だって大きく影響するのは当然です。
さらに、「テストの点数は、どれだけテストに慣れているかの指標でしかない」などの見方も珍しくはありません。
つまり、テストの結果は、親の収入だったり、ストレスマネジメントだったり、その日の体調だったり、テストへの慣れ具合だったり、生徒の学力や理解度以外のものを色濃く反映しているのです。
とはいえ、世の中にテストがあるのは現実。テストが何を測っていようが、テストを受けなくてはいけないことに変わりはない。だからこそ、学習におけるテストの本当の効果を理解しておくことが重要です。
テストが最強の学習ツールである理由
テストが自分の学力を知るための道具でないのならなんなのか?
最近の学びの科学の研究で、テストは、最高の学びのチャンスを生み出す道具であることが明らかにされてきました。
テストは、受けている時に、必ず何らかの形でこれまで学んだことの記憶を呼び起こさなければなりません。
その「記憶の呼び起こし」が高い学習効果を導くカギであることが分かってきました。
例えば、アメリカのパデュー大学の研究で、記憶の呼び起こしをベースにした学習法と、その他の伝統的な勉強法の効果を比較したものがあります。
まず、3つのグループの生徒が異なる勉強法で、同じテキストを学習します。第1グループの生徒は、テキストを繰り返し読む方法。第2グループは、テキストを読み、図解などを使ってノートにまとめる勉強法。第3グループは、テキストで読んだことをテストして読んだことの記憶を呼び起こす方法で学習していきます。
その1週間後に生徒たちは学習したテキストに関するテストを受けます。その結果、第3のグループが格段に成績が良いことが分かりました。しかも、歴史の年号などのような暗記問題だけではなく、思考力を問う応用問題でも同様の結果が見られたのです。