オンラインの学校でありながら、全米トップレベルの進学実績を誇る学校がある。スタンフォード大学・オンラインハイスクールだ。校長を務める星 友啓さんが提案する、自ら学び、考え、行動する子を育てる5つの質問とは――。

※本稿は、星 友啓『スタンフォードが中高生に教えていること』(SB新書)の一部を抜粋したものです。

高校生
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間違えたときが一番学習効果が高いとき

子どもが間違った時、ネガティブな言葉でまくしたてれば、萎縮させてしまい、学ぶ姿勢に悪影響を及ぼします。学ぶ姿勢をたたえて間違えに萎縮しない力を養うためのサポートを心がけねばなりません。

間違えることは学ぶために必要かつ効果的な経験です。

間違えは自分の能力やスキルを改善するチャンスだと、ポジティブに捉えられるようにサポートしてあげましょう。

最新の脳科学では、子どもが間違えた時に、脳の働きがより活発になり、高い学習効果が得られることが明らかになってきました。つまり、子どもを萎縮させて間違えを避ける習慣をつけさせると、効果的な学習機会を逸してしまうことになります。

では、具体的にどういう点を意識すればいいのか。次の叱り方から学びましょう。

「そんな簡単な問題、なんでできないの。がっかりよ。もう一回やってみなさい」

ひどい叱り方のようでいて、似たような言葉がしばしば口をついて出てしまうもの。改めて、このような叱り方のダメな点を考えてみましょう。

ネガティブな主観を伝えてはいけない

まず、「がっかり」などと、叱る側のネガティブな主観を表現してはいけません。頑張って問題に取り組んだのに、その努力が生み出した結果が、目の前にいる大切な人をがっかりさせている。そう感じさせては、学習への意欲を削ぐだけです。

子どもをほめる時は「すごい」「うれしい」等々の主観的な感情を表す言葉を使うのはOKですが、子どもが間違ったり、学習の評価が基準に達していない場合には、主観的な表現を避けましょう。

より客観的な視点からアプローチして、どこがどのように間違っているのかを説明して、子ども自身で次のステップに進めるように手がかりを与えることが大切です。

次に「そんな簡単な問題」と決めつけてはダメ。「簡単」だからできなければならない。しかし、自分にはそれができない。そう思ってしまったら、勉強が嫌になってしまうのも当然です。

声かけをした人にとっては簡単な問題だったのかもしれませんが、難易度や学習教材のレベルは、子どもの現在の進度や能力を基準にしなければいけません。教材が子どもの現在の進度に合っているのかいないのか。合っていないのならば、子どもを叱りつけ、教材のレベルに到達していないとけしかけては逆効果です。

むしろ、必要なレベルに達するための具体的なサポートを考えたり、現在の教材が子どもにフィットしているかを再評価してあげましょう。