「息子に『やる気』を出させるにはどうしたらいいのか」。脳科学・AI研究者の黒川伊保子さんは、脳科学の知識と自らの「息子育て」の経験から、この問題を解決するカギが「男性脳の癖」にあると説く——。

※本稿は黒川伊保子『息子のトリセツ』(扶桑社新書)の一部を再編集したものです。

宿題が手につかない子供
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なぜ、学校に行くのか

男性脳は、ゴール指向問題解決型という脳の使い方を優先している。

とっさに遠くを見て、潔くゴールを見定める。

物理空間で行うこの癖は、思考空間でも変わらない。対話においては、最初に「話の最終ゴール」=結論や目的を知りたがる。ゴールがわからないと、思考が散漫になり、相手の話がモスキート音のように聞こえてしまう。

この脳の癖を知っている私は、息子が小学校に入学するとき、小さな「男性脳」に黄色い帽子をかぶせてやりながら、これから始まる学校生活のゴールを知らせてやらなければ、と思った。

私は、息子に、こう伝えた(本当は、もっとごちゃごちゃしたことばだったけど、要約するとこんな感じ)。

「あなたはこれから、いろいろな教科を学ぶことになる。算数(これはやがて数学になるわ)、国語、理科、社会……そのすべては、この世の見方を学ぶことなの。いくつもの見方を学校は教えてくれる。やがて、そのうちの一つか二つで、人は世の中を見ていく。数学を選ぶ人もいるし、音楽を選ぶ人もいるでしょう。けど、小さいうちは、どれがその人に似合うかわからないから、学校はすべてを教えてくれるの。ものの見方をいくつも手に入れること。勉強は、そのためにする」