テレビマンの勇気が試されている
極めて情緒的な「十分に泣きを入れたか」というような基準や、「腹を切れば情けをかけてやる」というような前近代的な「渡世の世界のメンタリティ」のようなものに基づいて記者会見の場を利用するのは、絶対にやめたほうが良い。日本は法治国家だ。仕事を一定期間自粛するなど「社会的制裁をすでに受けている」といえる条件を満たせば、倫理違反なり違法行為を犯した人物も当然許されるべきだと私は思う。
そしてテレビ局も「賛否両論ある人物の出演」にもっと勇敢であるべきだ。多少の批判の声が寄せられたにしても、その人物の出演によって世間に問題提起ができて有意義だと感じたら正々堂々と起用すべきなのではないか。「炎上」「批判」という言葉を過剰に恐れて、ビビりながら無難な番組を作り続ければ、どんどん番組はつまらなくなっていく。
一部で報じられているように、日本テレビの大みそか特番『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』が渡部さんを起用し、笑いに昇華させて復帰させようとしたならば、その「テレビマン的勇気」に私は拍手喝采を送りたい。「批判されるくらいが面白い番組だ」というのはわれわれの偉大な先輩たちが築き上げてきた文化だし、実際問題として「嫌だと思う人は見ないでください」と堂々と言える勇気こそがテレビを再び面白くするのではないかと私は信じている。