「会社=自分」という発想は経営者を追いつめる

「自分のもの」と柵で囲うのは悪いことではありません。コンシャスネスの授業では「良い」「悪い」という概念はないからです。コンシャスネスを学ぶ上で大切なことは、自分がそれを意識しているかどうかです。自分が「あれ、今僕は『自分のもの』としていないかな?」と気づくことが大切なのです。

例えば、ある経営者が自分が立ち上げた会社のことを「自分のもの」として扱っている場合を見てみましょう。普段は「自分のもの」とすることで、真剣に会社の成長を願い、より良い企業にするべく努力することができ、何も問題はないように思われます。

しかし、もし経営者自身が会社に自分のアイデンティティーを投影していたとすると、どんなことが起きるでしょうか。

「会社=自分」となることで、会社のパフォーマンスが自分のアイデンティティーと重なり、利益が落ち込んだり、会社に悪い評判が立ったりした瞬間、自分の心の状態は「苦悩の状態」になってしまいます。

ビジネスをしていれば、自分でコントロールのできない状況に陥ることは多々あります。

例えば新型コロナウイルスの影響で金銭的損害を被った場合、会社を自分のものとして捉えている経営者は、自分の成功と重ね合わせて会社の行く末を見てしまうため、非常に苦しい思いを強いられることとなります。

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「自分のもの」だと捉えるから苦しくなる

誰かが会社を辛口で批評したときも、非常に苦しい思いをします。「会社=自分」となると、自分のアイデンティティーを守ることに必死になってしまい、必要以上の苦悩の感情に左右されながら、本来会社を存続させるために必要であるはずの大きな決断ですらできなくなってしまうのです。

この状況から抜け出すには「会社=自分」というように自分のアイデンティティーを投影していないかどうか気づくことです。これに気づくことで、それが自分にとって健全なことなのかどうかを自分で判断することができ、自分で決断をしていくことができます。

外敵から身を守るために柵を作るのは、人間が本来持っている習慣の1つです。柵を作ると同時にエゴセルフがそれを「自分のもの」としていないかどうか、意識的に気づいていくことが大切です。

「自分のもの」と柵で囲ってしまうと、苦悩に陥りやすくなることを、ぜひ覚えておいてください。