新型コロナウイルスの影響で会社が傾いたとき、「会社が潰れるなら死ぬしかない」と思い詰めてしまう経営者がいる。そうやって苦しむのは、会社を「自分のもの」として捉え、自分の成功と重ね合わせて会社の行く末を見てしまうからかもしれない——。

※本稿は、ナミ・バーデン、河合克仁、クリシャナラジ『世界のエリートが実践する心を磨く11のレッスン』(サンガ)の一部を再編集したものです。

ヨガ
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心の根底にある「エゴセルフ」

人はもともと「柵を作る」という行動をします。「柵」と例えても「壁」と例えてもいいのですが、この「柵を作る」という行動は、人間が本来持っている習慣であり、外敵から身を守るために行う行動です。広い野原でテントもなしに野宿するのと、柵や壁を作って家の中で眠るのとでは、安心感が違います。

この「柵を作る」という行動は、生物学的に身を守るという一面もあるのですが、実は同時に私たちのマインドに存在する「エゴセルフ」が働きかけている側面もあります。

「エゴセルフ」とは、自分の「理想像」や「アイデンティティー」とも言えるもので、分け隔てる性質をもっており、これがあると他人と心からつながりません。すなわちこの状態では、無意識の間に「エゴセルフ」が物事を「自分のもの」という柵で囲っているのです。

例えば、自分の子供のことを「自分のもの」として無意識のまま柵で囲っているとどうなるでしょうか。自分の子供がいじめられているのを見ると、非常に苦しく、つらく感じることでしょう。しかし、他人の子供が同じようにいじめられているのを見ても、それほど苦しい気持ちは感じないのではないでしょうか。

また、自分のパートナー(妻、夫、彼女、彼)のことを無意識のまま「自分のもの」と柵で囲っていたならどうでしょうか。パートナーが異性と仲良く話して楽しそうにしているのを見ると、ジェラシーを感じることでしょう。

「私のパートナーなんだから、○○しないでほしい。私のパートナーなんだから、○○してほしい」。このように「私のものなんだから」と束縛して相手をコントロールしようとするのも、心の根底にある「エゴセルフ」の仕業です。