※本稿は、ナミ・バーデン、河合克仁、クリシャナラジ『世界のエリートが実践する心を磨く11のレッスン』(サンガ)の一部を再編集したものです。
心の根底にある「エゴセルフ」
人はもともと「柵を作る」という行動をします。「柵」と例えても「壁」と例えてもいいのですが、この「柵を作る」という行動は、人間が本来持っている習慣であり、外敵から身を守るために行う行動です。広い野原でテントもなしに野宿するのと、柵や壁を作って家の中で眠るのとでは、安心感が違います。
この「柵を作る」という行動は、生物学的に身を守るという一面もあるのですが、実は同時に私たちのマインドに存在する「エゴセルフ」が働きかけている側面もあります。
「エゴセルフ」とは、自分の「理想像」や「アイデンティティー」とも言えるもので、分け隔てる性質をもっており、これがあると他人と心からつながりません。すなわちこの状態では、無意識の間に「エゴセルフ」が物事を「自分のもの」という柵で囲っているのです。
例えば、自分の子供のことを「自分のもの」として無意識のまま柵で囲っているとどうなるでしょうか。自分の子供がいじめられているのを見ると、非常に苦しく、つらく感じることでしょう。しかし、他人の子供が同じようにいじめられているのを見ても、それほど苦しい気持ちは感じないのではないでしょうか。
また、自分のパートナー(妻、夫、彼女、彼)のことを無意識のまま「自分のもの」と柵で囲っていたならどうでしょうか。パートナーが異性と仲良く話して楽しそうにしているのを見ると、ジェラシーを感じることでしょう。
「私のパートナーなんだから、○○しないでほしい。私のパートナーなんだから、○○してほしい」。このように「私のものなんだから」と束縛して相手をコントロールしようとするのも、心の根底にある「エゴセルフ」の仕業です。