コロナ禍で見えた「待ったなし」の状況
とはいえ、CRMツールの導入には技術的にも経済的にもハードルがある場合も少なくない。事業者が単体で活用するには、人的リソースの問題もある。そこで次善策として、SNSを活用するという手もある。
実際、由布院から車で20分に位置する大分・湯平温泉の旅館「山城屋」はSNSの活用によって、2016年の熊本地震で8割を占めていた外国人客の激減からのV字回復を成功させている。
同館の代表・二宮謙児氏は、既存客が多くを占めていたフェイスブック上でつながる外国人客に対して積極的に情報発信を行ったという。その結果、半年と待たずに、客が戻ってきたのである。これも広義のCRMの取り組みだといっていいだろう。
本稿ではアフターGo Toを見据えた施策について考えてきたが、いずれもGo Toや今般のコロナ禍を抜きにしても普遍的な視点ばかりである。これまでも重要だといわれてきたことが、コロナによって加速したといったほうが自然である。
いままで先送りにできたこと、先延ばしにしてきたことが待ったなしの状況になったということではないかと感じているのは私だけではないはずだ。