(略)
小池都知事の国への反発もよーくわかるが
北海道や大阪府は、国・政府と協力しながら一時停止を受け入れる考えだが、東京都の小池百合子知事は当初、「あくまでも国・政府が判断すること」と突っぱね、国への停止要請を行わなかった。
この小池さんの態度について、「今は喧嘩をしている場合じゃない。都民のことを考えろ!」という批判の声も上がっている。
政府としても、加藤勝信官房長官が「どちらに責任があるという議論は建設的ではない」とやんわり小池さんを批判している。
確かに今は都民・国民のことを第一に考えなければならず、模範解答的な批判としてはその通りである。
しかし、小池さんの気持ちも、僕は元知事としてよーくわかるね。
Go To 「東京除外」は菅さんと小池さんの政治的闘争が原因?
Go To キャンペーンは、安倍晋三前政権のときに打ち出された政策で、特にGo To トラベルは、当時の官房長官であった菅義偉首相の肝いりの政策だった。
菅さんはコロナ対応において、一貫して「日本の経済を壊してはならない」というスタンスだった。
Go To トラベルが開始される7月22日が迫ってきた頃、東京の感染者数がどうも落ち着かない。このままGo To トラベルを実施してもいいのかどうか、専門家やメディアの中で賛否が割れていた。
そのときに政府は、「東京をGo To トラベルから外す」という決定を下した。
当時官房長官だった菅さんと、『日曜報道THE PRIME』(フジテレビ系)でこの件を議論したときに、僕は「小池さんにすべてを委ねた方がいいのでは?」「東京都内だけのGo To トラベルというやり方もあるのでは?」と尋ねた。
しかし菅さんの答えは、「政府としてはそのような考えはない。都内だけのトラベルというものは都のお金でやればいい」という素っ気ないものだった。
僕は「あー菅さんは、頑なだな」と感じた。司会の松山俊行さんも、番組スタッフも番組終了後「菅さんは柔軟に対応する気配は全くない感じですね」と感想を漏らしていた。
政治家といえども所詮は感情のある人間。100%完璧な道徳的振る舞いを徹底できるわけじゃない。
特に「政治的な争い」、まあいわゆる「喧嘩」においては、「勝ちにいく」のが政治家の本能だ。学者やコメンテーターは、「そんな自分たちのメンツなんてどうでもいいじゃないか!」「都民のことを考えろ!」と批判するけど、政治家に喧嘩に勝つ闘争本能というものがなければ、たいした政治などできやしない。
この点、菅さんも小池さんも政治家としての闘争本能が強いことは、誰もが知っていることだね。
(ここまでリード文を除き約1000字、メールマガジン全文は約9400字です)
※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》Vol.226(12月1日配信)の「本論」から冒頭部分を抜粋したものです。もっと読みたい方は、メールマガジン購読をご検討ください。今号は《【Go To 大混乱】まずは法改正! 国と地方は結束してコロナ対策に挑め》特集です。