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河野大臣の「アーリー・スモール・サクセス」が奏功
さて、ここからはこのメルマガで2号にわたり論じてきた「国家の動かし方」の最終回だ。
就任から1カ月超という短い期間に菅義偉首相は多くの改革に着手し、それだけではなく次々と前へ進めている。歴代首相と比べても菅さんの推進力は群を抜いているが、その秘密は何か。
改革、改革といっても、まずはリーダーが現場の課題をすくい上げなければ始まらない。菅さんは課題を見つけるための会食、会合を衆議院議員、いや横浜市議会議員になって以来ずっと続けている。政治家は仲間をつくるための会食を重ねるものだが、菅さんの会食はむしろ課題発見のためが主たる目的で、仲間づくりが従なのではないか。それくらい情報収集のための会食という習慣を続けている。
また、改革を実行するには国なら国、大阪府なら大阪府という大組織を動かさなければならない。それには河野太郎行政改革担当相が打ち出した、行政手続きにおける押印の原則廃止や閣議後文書の「こより留め」廃止といったアーリー・スモール・サクセスが効いている。まずは小さな成功によって、大改革を成し遂げるためのエンジンを回し始めるのだ。
前回までは、このようなことを論じてきた。
「改革をやるんだ!」首相の気合いで改革のエンジンが回り始めた
しかし改革へのエンジンが回り始めたのは、なんといっても菅首相自身が「改革をやるんだ!」という気合いを発していることが大きい。この首相の気合いがあるから、各大臣たちも改革意欲を燃やして必死に動いている。
河野大臣は、過去にも規制改革担当大臣に就任していたが、そのときはここまで注目されていなかったし、押印廃止も打ち出せなかった。
もちろん押印廃止は、コロナ禍によって廃止の必要性が高まったという時勢が影響したこともあるだろう。
しかし押印廃止に限らず、その他の改革についても、菅首相の改革へのやる気が各大臣に波及していることは間違いない。
各大臣は菅首相のこの気合いを、所管省庁や利害団体に示して、改革を断行しようとしている。
最後はリーダーの気合いが物事を動かしていく。このことについて加計学園問題のときには、「首相の威光を担当者が使った!!」と散々批判されたけど、リーダーの威光を使わなければ大きな改革など実行できないのが世の現実なんだよね。こういう現実を、きれいごとだけを言うインテリたちは全く知らずに批判だけをする。
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※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》Vol.222(11月3日配信)の「本論」から冒頭部分を抜粋したものです。もっと読みたい方は、メールマガジン購読をご検討ください。今号は《【国家の動かし方(3)】大阪都構想、菅改革……最適な組織設計とリーダーの気合いが事態を動かす》特集です。