「コンビニには毎日のように行ける」マイルドなひきこもり38歳の肖像
けっして、部屋にひきこもっているわけではなく、普通に会話はできますし、近くのコンビニなど外出もよくするそうです。ただ、こと就職となると腰が重くなってしまうようでした。今ではすっかり無職の生活が長くなってしまいました。こうなると、正社員での就職は簡単ではありません。
両親も、初めの頃は何かと就職活動をするように声をかけていましたが、当面の生活費に困っているわけではなく、いつしかこの状態に慣れてしまったようです。
「重いものの買い物に付き合ってくれるし、車で病院に送ってくれるので、家にいてくれて助かることもあって……」
と、母親は現状に満足してしまっているようです。父親は父親で、
「実は私もかつては、わりと転職を繰り返していたこともあって、あまり強くは言えなかったんですよ」
と苦笑いです。
「年1回温泉ももやめなければいけませんね……」
お話を伺う限りでは、お子さんは他人とコミュニケーションが取れないわけではありませんので、何かのきっかけがあれば、正社員は無理でも仕事に就くことができるように感じました。ただ、私は就業支援の専門家ではありませんので、安易なアドバイスはできません。
「わかっています。今回相談させていただきたいのは、もし、このままの状態が続いて、息子が生活していけるかどうかということです」
との父親の希望ですので、さっそく私は、家計状況を詳しく伺って、将来の状況をシミュレーションしました。
「う~ん。ご両親がお元気の間は問題ないのですが、ご長男お一人になるといずれは生活費が足りなくなる可能性が高いでしょう」
と私は、分析結果を見ながら答えます。
「そうですか。ではもっと節約をしなければなりませんね」
と母親は肩を落とします。父親は残念そうにつぶやきました。
「年に1回は、夫婦で温泉に行っていたのですが、それもやめなければいけませんね」