なぜ厳しく家計管理しているのに、財布のひもは緩むのか。現在40代後半のGさん夫婦は手取り世帯月収が35万円以上あるが、毎月赤字。老後資金が貯まらない。相談を受けたファイナンシャルプランナーの横山光昭さんは「原因は奧さんの浪費癖にありました。現金管理の時はいいのですが、電子マネーやスマホ決済など新しい支払い法が出てくるたびに赤字転落。改善策で月6万円の黒字化に成功しました」。その秘策とは——。
1万円札を広げて持つ女性
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「浪費爆弾」48歳妻をどのように節約妻に変身させたのか

「せっかく家計がうまく回るようになったのに、また逆戻りです」

都内在住の会社員のGさん(49)は困り顔でやってきました。

家計管理をするパート主婦の妻(48)は浪費しがちなタイプで、いままでに何度もお金を使いすぎて、家計を赤字にさせることがありました。そのため貯金がなかなかできず、約10年前からGさんが主体となって家計管理を厳しくして、なんとか息子(22)の私立大学の学費を捻出しました。

その息子もこの春、無事に大学を卒業しました。学費を払った後に残った貯金は約180万円。ここまでは十分とまではいえなくても家計管理は順調だったと言います。

Gさんは定年まであと10年、これからは自分たちの老後資金作りのために、支出ペースを変えずに貯めていきたいと思っていた折も折、再び妻の悪い癖が再発してしまいました。油断してまた浪費するようになったのです。その顚末は、のちほど報告しますが、その前に、Gさん宅のマネー史を少し振り返ってみましょう。

結婚当初はうまく家計管理できたが、電子マネーを使いまくり……

Gさんは、1990年代後半(二十数年前)に結婚した当初、週に一度、食費や日用品代など日々の生活費として妻に現金を渡したそうです。妻に家計を任せると赤字になる危険があると思ったからです。

徐々に支出のペースも見え、妻の浪費グセもなくなっただろうと思えた2000年代半ばころ。当時、はやり始めていた流通系の電子マネーを持つようになったことをきっかけに、Gさん宅の財布のひもは一気に緩み始めてしまいます。

電子マネーは近所のショッピングセンターでも利用でき、ポイントも貯まることから、Gさんと妻も財布がわりに使うことにしました。その都度チャージして使うこともできましたが、その一手間が面倒だと思い、クレジットカードを利用したオートチャージを設定しました。支出のペースさえ変わらなければ大丈夫だと思ったのです。しかし、これも裏目に出ます。

電子マネーを使い始めて最初のクレジットカードの請求がくると、いつもの2倍の請求金額になっており驚いたそうです。当時は今のように支払いをするたびにメールなどでお知らせが来る仕組みはなく、途中経過を把握できなかったのです。

「使いすぎているから注意しよう」と妻に伝え、様子を見ていたのですが、2カ月目も3カ月目もやはり使いすぎてしまう傾向があったそうです。

それだけではなく、妻は急病や故障など突発的な支出がある時に支払いができるようにと念のために家に置いてあった、使っていないクレジットカードも使い始めてしまいました。そうして、クレジットカードの利用残高が60万円近くまでなってしまったのです。

当時のGさん夫婦には大きな金額でした。そして、矢も楯もたまらず、2010年(10年前)に私のところにやってきたのです(つまり、Gさんの今回の相談は2回目)。

「利用残高をこれ以上増やさず、なくし、貯める習慣を作りたいんです」