世帯の手取り月収は47万円超だが、毎月4万円以上の大赤字。このままでは教育費も老後資金も貯まらない。ザル家計の原因をファイナンシャルプランナーの横山光昭さんが探ると、家計簿の付け方だけでなく、妻の消費行動に大きな問題が。「袖を通さない服の山、在庫があるのに買いだめする雑貨品、食べたくないのに購入する総菜など、多くの“あまりに意味のない支出”が見つかりました」という――。
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写真=iStock.com/Nadtochiy
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幸せ3人家族が転落危機「おしゃれ妻」がコロナ禍で万札を溶かす恐怖

「子供の教育費や老後資金を貯め、マイホームのローン返済を繰り上げするためにも、このタイミングで支出を見直したいんです」

都内在住の会社員のAさん(37)には、アパレル系の会社に勤める妻(36)と来春から小学生になる一人娘(6)がいます。家計管理は基本、夫婦で出し合う形。Aさんが主に生活費を、妻が貯蓄を担当することになっています。

しかし3年前にマイホームを購入した後、ローン返済(月11万9000円)があるため、Aさんの収入では生活費や臨時支出をまかないきれません。そのため妻の収入からも生活費を一部捻出している関係で、貯金が全く増えていません。貯金が増えなくなった頃からiDeCo(個人型確定拠出年金)を始めたのが、せめてもの救いです(掛け金はボーナスから拠出)。

そこで先日、支出増加が貯金を満足にできない原因とみて、日頃利用している家計簿アプリを確認。ところが、毎月の収支は黒字だったといいます。なぜでしょうか。

ふと気になって、こづかい額を聞いてみました。きっとその額が多くて貯金できないのではないかと思ったのですが、2人合わせて月5万円(夫3万円、妻2万円)と低く抑えていました。

アパレル関係の仕事の妻は服を社販で大量購入

ただし、抜け穴がありました。「仕事に必要なもの」はこづかいではなく、家計から出していい、という仕組みだったのです。このあたりに支出がコントロールできない原因があるのかもしれません。

妻の仕事はアパレル関係。アパレル系の販売をしている方は流行りの服を自己負担で購入し(一部社内割引あり)、それを着て店頭に立つことが少なくないそうです。もしかすると、妻の洋服代が貯金に大きく影響しているのかもしれません。

先入観だけで判断はできませんが、その可能性を含めて支出状況を伺いました。すると、もうひとつの抜け穴が見つかりました。

現状、夫婦の手取り収入は合わせて47万6000円ですが、1カ月の総支出は52万1000円で4万5000円の支出超過。実は、アプリにはキャッシュレスで決済した支出はきちんと記録されているのですが、現金払いは記録をし忘れていたのです。

この記録漏れで毎月の家計は数字上、黒字になっていただけなのです。夫婦でアプリの内容を共有しているのですが、互いの現金支出については記録漏れに気がつかなかったそうです。