「自家用ジェットで遊説」も可能にするバイデンの資金源
今回の大統領選挙の特徴の一つは、バイデン候補の選挙資金額が2020年10月というたった1カ月だけで、2020年9月までの2倍となる9億5200万ドルとなったことにある。
これはトランプ大統領や、過去最高の選挙資金を集めたオバマ大統領の6億ドル超の、5割増しにもなっている。
この選挙資金の出所には、「イデオロギー」に分類されるものが約半分も含まれる。なお同様の資金は、共和党の上下院での有力議員の対抗馬である民主党候補のところにも寄付されていた。
バイデン候補が2020年9月に予定した電車行脚を、翌10月に入り、大型の自家用ジェットでの遊説に切り替えたのは、この選挙資金額が得られたためだ。資金源としては、中東系や中国系、ロシア系の米国人・組織なども出てくるが、個人を含むさまざまな人や組織に支えられていた。
米国社会主義は「人類の最後の理想」なのか
米国は自由と平等を標榜する民主主義のリーダーである一方、貧富や人種、宗教の差別といった社会問題も、多く抱えている。
しかし、最近では黒人差別問題が際立ってきた一方、米国で地方議員となったイスラム教徒が議会で「アラー・アクバル」と叫ぶ事例も出ている。差別を受けることが分かっていても、子供の頃からの文化的・宗教的慣習を押し殺すことが難しいということだろう。こうした社会課題を、これまでの米国民主主義では、完全になくすことができない。
対して、米国社会主義は、米国政治の伝統を無視し、一つのイデオロギーを共有するので、宗教や人種による差別を乗り越えることが可能だと言われている。ハリス副大統領候補が初の上院議員選挙の際、インドの伯父にヒンズー教で祈願を依頼したことは有名だが、彼女が社会主義にひかれた理由も、このような寛大さがあるからだろう。
これまで虐げられた側にいた人々、米国の敵国として扱われてきた国々にとって、米国社会主義は、ある意味で「人類の最後の理想」なのかもしれない。各種の資金が集まる理由もここにある。