トヨタが国内でディーゼル車を出さない本当の理由

好機を見過ごすまいと、今年からアウディもこの国内のディーゼル輸入車市場に参入。実際、国産のセダンは輸入車に押されていて、現在は「瀕死の状態」だという。

「コロナ禍があったとはいえ、クラウンは前年比3分の1しか売れていないし、他もカローラ以外に目立って売れている国産セダンはありません。カムリ、アコードなど海外でも売れているグローバルモデルでないと、生き残りが難しい状況です」

トヨタ カムリ ハイブリッド 2017年モデル

ならば、トヨタはディーゼル車のセダンを出せばいいじゃないか、と考えるのが普通だが、平塚氏によればトヨタは国内ではディーゼル車を出さない、という。

「理由はディーラーの都合です。扱う車種が多過ぎるので、整備をガソリン車に絞りたいから。そもそもディーゼル車は、メンテナンスが大変なんです。トヨタは国内メーカーの中では例外的に、メーカー本体より販売店のほうが強い。何か不備があると、販売店の整備士が勝手に直してしまうか、そうでない時はメーカーに乗り込んで開発をシメに行くから怖い(笑)。マツダのディーゼル車は、整備士たちの頑張りが下支えしているようなものです」

「中古でいいからベンツを」という人は3年落ちを選べ

もっとも、ディーゼルの輸入車の優位がいつまで続くかは未知数だ。2024年のユーロ6規制による厳しい排気ガス規制、2035年までにガソリン車の新車販売を禁止するカリフォルニア規制等々、年々厳しくなる環境規制がディーゼル車のネックになる。

「ディーゼルはいきなり生産縮小になる可能性もあります。今は売れてないクラウンが後継車のミライに継承されて、FCVやハイブリッドの国産セダンの復活が、近年また見られるかもしれません。また、これまでは低かったハイブリッド車の査定が、徐々に上がってきています。例えば、ハイブリッドしかないカムリは今、かなりの高査定です。日本勢の巻き返しに期待しています」

ちなみに、「新車といわず、中古でいいからベンツを」という人は、ガソリン車の低査定を逆手に取れば、3年落ちならミニバンと大差ない価格で購入できる。

「最新型に乗れるし、2年のディーラー保証がつく。今のベンツは3年、4年落ちでも新車と変わらないくらいピカピカですからね。本当の富裕層は、税金対策のために余ったお金で4年落ちのベンツを買います。ベンツやBMWは6年でモデルチェンジするので、2年乗って減価償却して売っ払うわけです」