普通車が台数で“軽”を上回るのは3年1カ月ぶりの“異変”

コンパクトSUV「ヤリスクロス」が爆売れ中だ。そこから、カーマニアではない買い手には見えにくい、車選びのポイントがわかる。

コンパクトSUV「ヤリスクロス」
写真=トヨタ自動車WEBサイトより
コンパクトSUV「ヤリスクロス」

今年9月、軽自動車も含めた新車販売台数でトップに立ったのは、今年2月に発売され2万2066台売れたトヨタの小型車「ヤリス(旧ヴィッツ)」。上期の総合1位だったホンダの“軽”「N-BOX」を3400台以上も上回った。普通車が台数で“軽”を上回るのは3年1カ月ぶりの“異変”だという。

それに大きく貢献したのが、8月末に市場投入されたコンパクトSUV「ヤリスクロス」だ。「ヤリス」とプラットフォームは同じだが、高度な運転支援技術、燃費の良さに加え、車好きにとっても安定感や走行性能、乗り心地は格別のようで、市場では単なるヤリスの“枝分かれ”という以上の高評価を得ている。

営業マンは「ルーミー、ライズ」よりも売りやすい

しかし、これだけの販売好調は、こうした評論家の言うような車好きへの訴求力だけでは説明がつかなさそうだ。車用品メーカーで10年以上クレーム対応を務め、大手自動車メーカーの開発アドバイザーを務める平塚俊樹氏は、「値引きばっかりに血眼になっていると、大事な点を見失います」と、実際に購入に動かないと見えづらいセールスポイントを挙げる。

「ヤリスクロスは残価設定が高い、つまり将来の下取り価格を高く維持できるため、その分月々の支払額を少なく抑えることができます。だから、営業マンにしてみればルーミー、ライズといった他の同タイプのトヨタ車よりも売りやすいんですよ」(平塚氏、以下同)