4.期限の付いていない食品もある

アイスクリームには期限が入っていないことに気付いていますか? 食品表示基準により、次の食品は期限を省略できる、とされています。品質の変化が極めて少ないためです。

でん粉、チューインガム、冷菓、砂糖、アイスクリーム類、食塩及びうまみ調味料、酒類、飲料水及び清涼飲料水(ガラス瓶入りのもの〔紙栓を付けたものを除く〕又はポリエチレン容器入りのものに限る)、氷。

また、期限に日付が入っていない食品もあります。食品表示基準Q&A(加工‐14)により、製造や加工した日から賞味期限までの期間が3カ月を超える食品の場合、年月日ではなく年と月の表示にしてよいことになっています。「令和4年3月」「2022.3」などの記載です。

たとえば、賞味期限の日付が2021年7月28日の商品を年月表示に切り替える場合、2021年7月と表示すると7月29日、7月30日、7月31日は期限切れなのにOK、ということになってしまいます。そこで、2021年6月と表示をしなければなりません。こうした細かいルールも、消費者庁の食品表示基準Q&Aで定められています。

5. 3分の1ルールがまだ残っている

賞味期限に関して食品業界には昔から「3分の1ルール」というものがありました。製造してから賞味期限までの期間を、製造業者と販売業者、消費者が均等に分け合う、というもの。賞味期限が製造から6カ月後と設定されている場合、2カ月後を製造業者の納入期限、4カ月後を販売期限とするものです。そうすると、消費者は購入してから賞味期限まで2カ月あります。こうすることで、それぞれが余裕を持って取引や保管等をできる、という仕掛けでした。

しかし、あくまでも慣習に過ぎず、法律で定められたものではありません。このルールにより、賞味期限が何カ月も残っている製品を製造業者や販売業者が返品する事例が目立っていました。返品となると多くは廃棄されるため、食品ロスにつながります。

そのため、農水省は納品期限を緩和するように関係団体に通知するなどしています。大手スーパーマーケットや生協等は、多くの食品について納品期限を2分の1に変更しています。つまり、賞味期限が製造日から6カ月後であれば、製造3カ月後までの納品を求めています。その後は、賞味期限ぎりぎりまで販売したり、少し早めに販売を取りやめたり、あえて賞味期限切れの食品を集めて安価で販売したり、と、業者や食品の種類により判断はさまざまです。