治療せずに放置すると7〜10年かけて手指の関節が変形
「手指の関節が腫れて痛む」「指が動きにくくなって細かな作業がしづらい」といった症状を感じている更年期世代の女性はいないだろうか。
四谷メディカルキューブ 手の外科・マイクロサージャリーセンターの平瀬雄一先生によると、更年期以降で起こるこうした手指の関節の症状は、女性ホルモンのエストロゲンが減少することで起きていることが多いという。
「手指のトラブルを訴える患者さんの9割は女性で、そのうち9割を更年期以降の人が占めています。産後・授乳期にも同様の症状が見られる人もいます。いずれもエストロゲンが減少する時期と一致しています」
手指の関節疾患は発症部位によって病名が異なる。更年期に多いのは第一関節に起こる「ヘバーデン結節」、第二関節に起こる「ブシャール結節」。ほかにも、ばね指・ドケルバン病などの腱鞘炎や手根管症候群、母指CM関節症などがある。
更年期に関節の疾患が起きる人は、まず50代前半から指関節の腫れやこわばり、しびれ、痛みなどが出てくる。ここで受診する人も多いが、レントゲンで関節の変形が見られないため、正しい診断が下されないケースも多い。「加齢によるもの」「使いすぎ」と告げられ、あきらめてしまう人が多いのだとか。適切な治療が受けられないまま放置されると、7〜10年かけて変形が起こり、60歳代になる頃にはX線で変化が現れるほど関節の変形が完成してしまう。
結節の変形が進行すると曲げにくくなり、日常生活にも支障をきたす。こうした変形が軽度のうちに、また痛みなどが起き始めたらすぐに対処することが重要だ。