外出自粛やテレワークの導入によって、体が暑さに慣れないまま夏を迎えることになりそうな今年の夏。日常のある習慣が熱中症リスクを減らすことにつながりそうだ。
夏にマスクを着用した若いアジアの女性
※写真はイメージです(写真=iStock.com/itakayuki)

熱中症に負けない体づくりのポイント「暑熱順化」とは?

今年の夏は猛暑の中でマスクをして過ごすという、これまでに経験したことのない状況が待ち受けている。マスク着用によって体への負担が増えたり、マスクを外すわずらわしさから水分摂取量が減ったりといった状況が予想されるが、外出自粛やテレワークが続いたことで、暑さに慣れていないまま夏を迎えることも熱中症の不安材料に挙げられる。

熱中症は、梅雨の合間に突然気温が上がった日や、梅雨明け後の蒸し暑い日など、体が暑さに慣れていない時期に起こりやすい。これは、急な暑さに体の適応が間に合わないためで、暑い日が続けば体は次第に暑さに慣れていく。これを暑熱順化しょねつじゅんかと言う。

人は暑い環境にさらされると、皮膚の血管を拡張させて血流を増やすことで皮膚表面から放熱し、発汗することで汗の蒸発による気化熱で熱を体外に放出する。暑さに対してこのような反応がすぐに起これば問題はないが、暑熱順化するには2週間ほどかかるため、急な暑さを迎える前に、少しずつ体を暑熱順化させておくことが重要になってくる。

先日、ライターNも人生初の熱中症を経験した。在宅ワークが続いて3カ月ぶりに丸一日外出した日のこと。その日の最高気温は32℃で、マスクをして歩いていると体の内側に熱がこもるのを感じたが、不思議と汗は出ていなかった(振り返ると、水分をとっていないうえに空腹状態だった)。

街中を1時間ほど歩いていると、次第に頭がボーッとしてきて、気分が悪くなってきた。しかし自分が熱中症だとは気づかず「お腹が空いているからだろう」と、そのまま水分も摂らずに歩いて帰宅してしまった。家に着いて麦茶を2杯一気飲みするも、体の内側のほてりが取れず、そのうちめまいと吐き気が襲ってきた。結局、保冷剤で脇と首を冷やしながらしばらく安静にしたら回復したが、熱中症の恐ろしさを感じた出来事だった。このときのNは、暑いのに汗を上手くかけず熱放散ができていなかったのだと思う。まさに暑熱順化していない状態だ。