3月の暴落から一転、株式市場は大きく回復。そのスピードはリーマン・ショック後よりも速い。長期分散投資はアフターコロナにおいて報われるのだろうか。
日本株式市場
※写真はイメージです(写真=iStock.com/imagean)

上昇基調に慣れきっていた投資家たち

米リーマン・ブラザーズが破綻したリーマン・ショックが2008年9月。ここからグローバルに金融システムが機能不全に陥り世界金融危機へと進展し、マーケットインパクトは甚大で、2009年にかけて未曽有の株式市場下落が続きました。その後主要国中央銀行による前例のない量的金融緩和政策を下支えに世界経済は危機を脱して、以降は歴史上類例なき余剰マネーが株式市場をはじめあらゆるリスク資産に流れ込み、とりわけ世界の株価は10年以上押し上げられ続けてきました。右肩上がりの株価上昇基調がこれだけ長く続いていると、そのトレンドに慣れ切ってしまい、上昇することを前提とした相場感しか持てなくなっていた投資家もたくさんおられたことでしょう。

そうした楽観が支配する中で俄かに発生したのが新型コロナウイルス感染拡大によるパンデミックでした。私たちも現実に体験した感染恐怖の連鎖によって、世界中の企業活動は否応なく突然停滞を余儀なくされて、生活者の消費活動も著しく減退しました。そうした言わば経済の一時的心肺停止が、相場下落への一斉想起へと繋がり総悲観のモメンタムとなって、短期間でのパニック売りが起こったのです。