1300ccより1000ccのほうが「査定」がよくなるカラクリ

そもそも、グローバルモデルと“ガラパゴス”モデルは本質的にどこが違うのだろうか。

「品質に差があるのではなくて、各社のマーケティングの違いです。例えば、ヤリスは価格の高い1300ccより1000ccのほうが、排気量は少なくても査定がめちゃくちゃいい。なぜなら、『日本の中古車が人気の中東某国で、税制上優遇される1000cc以下のほうが売れるから』とトヨタの某営業マンが教えてくれました。同じ車種でも、査定はグレードと装備によっても違うので、売れ筋を狙うのは重要」

車の営業マンは、仲のいい常連客とはよくこういう情報の交換をするという。常連でない人は、先々高く査定される車種の細かな選び方をすすんで聞いてみるといい。

「それ1台を最後まで乗り潰すつもりでなければ、いいグレードの車種を選ぶことが、結局は値引きよりも得をするんですよ。そういうことを教えている車雑誌やメディアは見たことないですね。みんな値引き額の話ばっかり」

単価が安くて高性能だから売れる、という単純な仕組みにはまったくなっていないところがキモだ。

メーカーオプションを施したトヨタ車は高査定が期待できる

新車の購買層に対する、将来の査定額を視野に入れたトヨタのマーケティングは、他のポイントを見ても非常に優れているという。

「ディーラーが付けるカーナビなどのオプションは査定には影響しませんが、メーカーオプションは車体と見なされて、査定に組み入れられます。全車種に高価な安全機能やカーナビ、ディスプレイオーディオの標準装備を施したトヨタ車は、ますます高査定が期待できます」

スマホで代替できるカーナビのメーカーは今後生き残れない、という判断も後押ししたと思われる。環境性能より、壊れると厄介なアイドリングストップ機能をあえて外す決断を下したのも、高査定につながる耐久性を考えたトヨタらしい判断だろう。

では、今買うなら何を選ぶ?

「今なら、ルーミーやライズといった非グローバル車よりも、グローバルモデルであるヤリスクロス、間もなく国内市場にも出るカローラクロスが有望」

ともにグローバルモデルでありながら、コンパクトで国内にもフィットしているから、将来的に査定額で差が出てくる、と平塚氏は予測する。車選びの目安の一つにしてもらいたい。

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