2年に1回ペースでどんどん買い換えられるクルマ

新車ディーラーや中古車販売店では、顧客が購入時に本体価格の50~70%のみを負担し、負担分のローン支払いが終了した後は購入店に下取りとして返却する。こうすることで、月々の支払い金額を低く抑える。下取り価格は車種ごとにメーカーが設定している。

「しかしここまで売れ筋となると、トヨタの設定額よりも、中古車の引き取り店・販売店の実地の売買で設定される額のほうが高くなります。ホンダのN-BOXとか、他メーカーのいい車でもあることだけど、こういう現象はトヨタ車が圧倒的に多いですね。だから特定メーカーにこだわったり、熱烈なファンでもない限り、みんなトヨタを買うんですよ」

某店での一例を挙げると、本体価格221万円、オプションほかもろもろ併せて300万円のヤリスクロスの残価設定が37%。すると頭金を22万円積めば月々の支払いは4万1200円(58回払い、初回のみ4万5000円超)と相当にリーズナブルに思える。ちなみに、セダンよりSUVのほうが残価設定はいい傾向にあるという。

「だから、トヨタの営業マンはヤリスクロスを集中的にお客さまに推すんです。今、これだけ高査定の実用小型車は珍しい。2年に1回ペースでどんどん買い換えて、いつでもピカピカの新車を楽しむことができます。後部座席の狭いヤリスクロスよりも実用性・快適性で上回る他社の小型車はありますが、新車セールスではヤリスクロスが今後は長期間優位に立つのでは」

リースだと月11万円のヴェルファイアに月8万円台で乗れる

残価設定ローンの支払いは、車の減価償却のリミットである6年に合わせて最長5年だが、平塚氏はこれまで自社名義で車を累計30台前後購入。ほぼ2年に1台ペースで買い替えている。下取り、下取りの連続なので、「実際に支払った金額は30台分の3分の1です」。法人なら代金を損金計上できるリースでそろえるのが常だが、リースだと契約の途中で新車には替えられない。

写真=トヨタ自動車WEBサイトより
トヨタ ヴェルファイア

「5年でローン組んで2年で買い替えられるって、素晴らしいじゃないですか。リースだとだいたい月11万円のヴェルファイアが、月8万円台で乗れるんですから。しかも、社員がいつも新車に乗っている余裕のある会社なんだ、と周囲に思わせることもできる(笑)」

平塚氏はこれまで買い替えで数多くの失敗を繰り返しながら、いろいろなことを学んできたという。「最初は失敗ばかり。そもそも高すぎる高級欧州車は、買ったとたん価格が半額になるのが当たり前。リースは車種が古いまま5年間買い替えられない。500万円で買ったEVは、無音でかっ飛ぶ乗り味がすごい半面、5年目で電池が8割に劣化して、下取りに出したら査定40万(泣)。EVを使うならそれ1台を乗り潰すかシェアリング、リースくらい。トヨタが手を出さない理由がよくわかります」