賛成派、反対派はそれぞれどのような人たちなのか
前回の住民投票をみると会社員や最近移り住んできた人が多いところは大阪都構想に賛成、自営業者や昔からの住民が多いところは大阪都構想に反対となっている。住民サービスを受けるメリットを感じている人、政令市「大阪市」への愛着が強い人からしてみると、大阪市が解体されて、これまで身近であった区も統合されて大組織になって行政サービスが雑になるリスクを忌避する人が多いのであろう。
一方で、地域よりも会社で過ごす時間が長い人や町内会活動に参加していない人からすると、きめ細かい行政サービスや窓口の近さより、有効な成長戦略を作ってほしいといったビジョン的な話の方が好まれるところがある。そういった点が住民投票や世論調査をすると浮き彫りになるのだ。
先日、東京の方とこの状況について議論した。そのときに私は「維新側は小泉改革的な構造改革路線であり、成長を重視する。一方、反維新は安定と公平重視であって、現状が良いと考える」と説明すると周りの理解も早かった。そのような目でみると、全国の方にも大阪都「抗争」の空気がわかってもらえると思う。
自治体の大合併や道州制の議論を再び始めるきっかけになるか
それでは仮に大阪都構想が実現した場合、それが日本に与える影響はどのようなものであろうか。私は自治体の大合併や道州制の議論を再び始めるきっかけになるのではないかと考えている。
人口減少が進むなか、令和の時代も行政の統合が進む可能性が大きい。一方で、政令市と都道府県、都道府県同士の合併は行われていない。そもそも今の都道府県は人が馬で往来していた明治時代にできた区分である。交通網が発達し、ネットでいろいろなことができる時代に、今の区分では狭すぎる。また、政令市も20市とかなり多くなっており、今のままでいいとはいえないだろう。
民間企業がなぜ活性化するかといえば、M&Aがあるからである。一方で行政については都道府県レベルでは再編は起きていない。実際に「大阪都」になるかはともかく、政令市や都道府県のM&A(合併)は真剣に議論する必要があるのではないか。