東京都は23区だが、大阪市には24区ある

全国の人からすると、大阪都構想というのはいまいちピンとこないと思う。一方で、大阪ではどうであろうか。

私がみている限り、多くの人が電車のなかや居酒屋、喫茶店などで大阪都構想について議論をしており、かなり理解が進んでいる。しかし、何回聞いてもわからないというコメントも多く聞かれる。それでは仮に住民投票で「大阪都」が合意された場合、どのようになるのか。簡単に概要を説明したい。

大阪都構想というのは、一番簡単に言えば、「大阪市を解体してそれを大阪府と合併させることで政令指定都市(以下、政令市)と都道府県を一体化させる」という構想である。そして、全国の人があまり知らないポイントであるが、政令市である堺市は含まれていない。

つまり、仮に大阪都構想が実現した場合、大阪府の下に4つの特別区、政令市の堺市、大阪府下の市町村が存在するという形になる。また都構想が実現しても、府の名前を「都」に変えるには法律改正が必要であり、名称は大阪府のままとなる。

不自然な区の形にも訳がある

大阪都構想が実現した場合、わかりやすい変化は大阪市内の行政区の数が減ることだ。大阪市は24区ある。東京特別区(23区)と数はほぼ同じである。一方、面積をみると、大阪が約230平方キロメートルであるのに対し、東京特別区は約630平方キロメートルであり、大きな違いがある。

府市統合後、区の名前は淀川区、北区、中央区、天王寺区の4つになる(図表1)。北区、中央区、とくれば東、南、西あたりにすればよさそうであるが、実はこれには深いわけがある。

「大阪都」の区割

区の名前というのは全国どこでも同じようにみえて、それぞれ思い入れが深い。そのため単純に決めることは住民感情を傷つける。そうしたなか、大阪府市の担当者の方々は、東京特別区や政令市の名称が方角・位置、地名等、地勢等、古典・その他にちなんでつけられていることを分析した(図表2)。それで旧区をその分類で整理し、覚えやすさなどを考えて各区の名前を決めたものである。

いろいろ分析してやっと決まった区の名前

区の形については、少し自然とはいえない形になっている。それは、基礎自治体として住民に必要なサービスを安定的に提供できるよう、各特別区間の財政の均衡を最大限考慮するほか、特別区間の将来の人口格差を概ね2倍以内とし、これまで築き上げてきたコミュニティや過去の合区・分区の歴史的な経緯、住民の円滑な移動や交流を確保するための鉄道網、商業集積の状況、災害対策としての防災上の視点を考慮した結果、この形に落ち着いた。