良くも悪くも従来の「日本の教育システム」が色濃く出た20世紀型

8.20世紀型:受信型×21世紀型:発信型

これまでの時代は、「受信型」でした。例えば、新聞やテレビによる一方通行型の情報収集が基本でしたが、現在はSNSはじめ双方向型の情報のやりとりが主流になりました。受信型は情報を吸収しやすい長所がある一方、短所は思考停止状態になりがちなことです。

学校の授業を思い出してください。一方通行型の講義形式では、意欲があり問題意識を持っている生徒にとっては意味がありますが、そうではない人にとっては、退屈なだけです。21世紀型企業では、受信型ではなく、発信型。例えば、部下は上司の情報を一方的に受け取るだけではなく、自らも上司に発信をしてコミュニケーションをとっているのです。

9.20世紀型:偏差値・学歴型×21世紀型:価値観型

偏差値や学歴を重視する企業や職業があります。例えば、医者です。医学部へ進学する必要があり、そのためにはかなりの勉強量を必要とします。ただ、一般企業において、今後も偏差値や学歴を重視すべきかどうかには疑問符がつきます。

筆者が研修してきた21世紀型の企業では、偏差値・学歴よりも価値観を重視した採用活動をしています。価値観が企業の価値観を合うかどうか。それを見極め、自社に適した人材を採用するのです。社員は「自分のやりたいことがこの会社できるのか?」という視点を持っており、企業側は「この人のやりたいこととわが社が目指すことは同じなのか?」という視点を持っています。偏差値が高いから、学歴がいいからという理由だけで採用したものの、あとでミスマッチに気づき、双方が嫌な思いする「悲劇」は、時間的・金銭的なロスでしかありません。

写真=iStock.com/Filograph
※写真はイメージです
10.20世紀型:スキル重視×21世紀型:デザイン重視

海外の大企業では近年、MBA(経営学修士号)よりもMFA(美術学修士号)取得者を積極的に採用しています。その背景にあるもの。それは、経営も“デザイン”が重要で、ロジックを組み立てるだけ、スキルを寄せ集めただけでは、もはや経営が難しくなってきているということ。これが21世紀型企業に見られる特徴のひとつです。

以上、20世紀型企業と21世紀型企業のキーワードを中心にまとめてきました。これらをご覧いただければわかると思いますが、20世紀型は、これまでの日本の教育システムが色濃く反映されたものです。したがって、そのような教育を受けてきた人が、急に訪れた21世紀の新しい流れに適応できないのも無理はないかもしれません。

しかし、できないというのではなく、「新しいキーワードを取り入れてやってみよう」という試みが重要でしょう。企業の規模が大きいほどかじ取りを変更することは難しいですが、難しいと言い訳めいたこと言っている場合ではなくなってきました。

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